作品に出てくるものの数え方(助数詞)
 
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組
作 家
作 品
田山花袋
【蒲団】
更紗(さらさ)の蒲団(ふとん)夜具一組を他の一方に入れようとした時、女の移香(うつりが)が鼻を撲(う)ったので、時雄は変な気になった。
午後二時頃には一室が一先(ひとま)ず整頓(せいとん)した。
泉鏡花
【高野聖】
特に炬燵(こたつ)が出来ていたから私はそのまま嬉(うれ)しく入った。寝床はもう一組おなじ炬燵に敷(し)いてあったが、旅僧はこれには来(きた)らず、横に枕を並べて、火の気のない臥床(ねどこ)に寝た。
太宰治
【斜陽】
「お母さま! お顔色がお悪いわ」
と叫ぶと、お母さまは薄くお笑いになり、
「なんでもないの」
とおっしゃって、そっとまたお部屋におはいりになった。
その夜、お蒲団(ふとん)はもう荷造りをすましてしまったので、お君は二階の洋間のソファに、お母さまと私は、お母さまのお部屋に、お隣りからお借りした一組のお蒲団をひいて、二人一緒にやすんだ。
徳田秋声
【新世帯】
支度(したく)はもとよりあろうはずはないけれど、それでもよかれ悪(あ)しかれ、箪笥(たんす)の一棹(さお)ぐらいは持って来るだろう。夜具一組は持ち込むだろう。とにかく貰って見給え、同じ働くにも、どんなに張合いがあって面白いか。
岡本綺堂
【ゆず湯(ゆ)】
「徳の野郎、あいつは不思議な奴ですよ。なんだか貧乏しているようでしたけれど、いよいよ死んでからその葛籠(つづら)をあらためると、小新しい双子(ふたこ)の綿入れが三枚と羽織が三枚、銘仙の着物と羽織の揃ったのが一組、帯が三本、印半纏が四枚、ほかに浴衣が五枚と、それから現金が七十円ほどありましたよ。ところが、今までめったに寄り付いたことのねえ奴等が、やれ姪だの従弟(いとこ)だのといって方々からあつまって来て、片っ端からみんな持って行ってしまいましたよ。世の中は薄情に出来てますね。なるほど徳の野郎が今の奴等と付き合わなかった筈ですよ。」
中里介山
【大菩薩峠 間の山の巻】
「何だえ、お前、何か啣えているね」
頭を撫でながら、ムクの啣えているものを取りはずして見ると、それは思いがけなく一組印籠(いんろう)でありました。
「おや、結構な印籠が……」
お玉はそれを、町の方へ向けてなるべく明るいようにして、仔細に見ると、梨子地(なしじ)に住吉(すみよし)の浜を蒔絵(まきえ)にした四重の印籠に、翁(おきな)を出した象牙(ぞうげ)の根付(ねつけ)でありましたから、
「こんな結構な印籠を、お前どこから持って来たえ、拾ったのかえ、どこで拾ったの」
犬は神妙に首を俛(た)れております。
中里介山
【大菩薩峠 禹門三級の巻】
「そうですか、よくおいでなさいましたね」
道庵は忌(いや)に御丁寧な挨拶をして、米友をながめています。
「この中へひとつ詰めておもらい申したいんだ。なあに、近所に医者もあるにはありますがね、素姓(すじょう)の知れた医者の方が安心だから、それで吉坊主(きちぼうず)にことわって、わざわざ先生のところまで貰いに来ました」
と言いながら米友は、懐ろから黒塗りの四重印籠二組取り出して、道庵の前へ並べました。
芥川龍之介
【魔術】
「それなら骨牌(かるた)をやり給えな。」
何度もこういう押問答を繰返した後で、とうとう私はその友人の言葉通り、テエブルの上の金貨を元手(もとで)に、どうしても骨牌(かるた)を闘わせなければならない羽目(はめ)に立ち至りました。勿論友人たちは皆大喜びで、すぐにトランプ一組取り寄せると、部屋の片隅にある骨牌机(かるたづくえ)を囲みながら、まだためらい勝ちな私を早く早くと急(せ)き立てるのです。
芥川龍之介
【誘惑 −−或シナリオ−−】
前の山みち。月の光の落ちた山みちは黒いテエブルに変ってしまう。テエブルの上にはトランプ一組。そこへ男の手が二つ現れ、静かにトランプを切った上、左右へ札を配りはじめる。
堀辰雄
【恢復期】
−−そういう動作をしながら、彼はたえず咳をしている。そのうちにそれへ自分のでない咳がまじっているのに気がつく。どうも彼の真上の寝台の中でするらしい。おれの咳が伝染(うつ)ったのかな。彼は何気なさそうに自分の足もとに揃(そろ)えてある一組婦人靴を目に入れる。
寺田寅彦
【断水の日】
水道の止まった日の午(ひる)ごろ、縁側の日向(ひなた)で子供が絵はがきを並べて遊んでいた。その絵はがきの中に天文や地文に関する図解や写真をコロタイプで印刷した一組のものが目についた。取り上げてよく見ると、それはずいぶん非科学的な、そして見る人に間違った印象や知識を与えるものであった。なかんずく月の表面の凹凸(おうとつ)の模様を示すものや太陽の黒点や紅炎やコロナを描いたものなどはまるでうそだらけなものであった。たとえば妙な紅炎が変にとがった太陽の縁に突出しているところなどは「離れ小島の椰子(やし)の木」とでも言いたかった。
平出修
【公判】
裁判長は型の如く訊問を終へたがやがて又記録を繰つて一審判決の原本を見出した。
「一審判決によると、お前は××郵便局集配人として勤務中、第一、年月日××町××番地の郵便函の中より御大葬の絵葉書一組を竊取(せつしゆ)し、第二、年月日××町××番地の郵便函の中より封書に貼用(てふよう)しありたる三銭の郵便切手を一枚宛剥ぎ取り竊取し、第三に、年月日某取次所より某局へ集配すべき小包郵便物の中より軽便懐中電燈一個を同じく竊取したと云ふ事実である。之が不服だと云ふのだな。」
「はい。」
 
   
 
 

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Last updated : 2023/02/24