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締
作 家
作 品
長谷川時雨
【西川小りん】
ぢん未来(みらい)さい−−
帰依仏
帰依法経−−
とかなんとか、涼しい、低くよく通る声で、だんだんに皆をひっぱってゆく。
祖母は、有難い御僧(おんそう)に、褌(したおび)の布施をする時は、高僧から下足のおじいさんにまで、おなじように二締(ふたしめ)ずつやった。祖母は別段、和讃歌もお経も覚えようとしなかった。松さんがその事を帰りに訊(き)いたら、
「空念仏(そらねんぶつ)だ。」
といった。では、なぜ毎晩参詣なさいますといったら、こう答えた。
「老人(としより)は家(うち)もすこしはあけてやるものだよ。」
芥川龍之介
【温泉だより】
「な」の字さんの話は本筋にはいずれも関係はありません。ただちょっと面白かったことには「な」の字さんは東京へ帰った後(のち)、差出し人萩野半之丞(はぎのはんのじょう)の小包みを一つ受けとりました。嵩(かさ)は半紙(はんし)一しめくらいある、が、目かたは莫迦(ばか)に軽い、何かと思ってあけて見ると、「朝日」の二十入りの空(あ)き箱に水を打ったらしい青草がつまり、それへ首筋の赤い蛍(ほたる)が何匹もすがっていたと言うことです。
   
 
 
 



 
 
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