
戦国武将 家紋図鑑 六十六選


織田 信長おだ のぶなが1534 - 1582
織田木瓜
おだもっこう
木瓜(もっこう)は鳥の巣を模したともいわれ、子孫繁栄を象徴する。一般的な木瓜紋は四葉だが、織田家は「五葉」を用いるのが特徴。信長の飛躍とともに、この独自の意匠は天下を揺るがす戦国最強のブランドとなった。


豊臣 秀吉とよとみ ひでよし1537 - 1598
五七桐
ごしちのきり
本来は天皇家の紋である桐紋。秀吉は「五七桐」を下賜されると、それを惜しみなく功臣に分け与えることで、独自の権威と家臣団の結束を固める政治的な道具としても活用したとされる。


徳川 家康とくがわ いえやす1543 - 1616
三つ葉葵
みつばあおい
賀茂御祖神社(下鴨神社)の神紋「二葉葵」に由来するともいわれる。泰平の世が築かれると、将軍家の絶対的な権威を示す「御紋」として他家の使用が厳しく制限された、江戸260年の秩序の象徴。


武田 信玄たけだ しんげん
武田菱
たけだびし
四割菱とも。清和源氏の流れを汲む甲斐武田氏の結束を象徴する剛健かつ端正な幾何学紋。


上杉 謙信うえすぎ けんしん
竹に二羽飛び雀
たけににわとびすずめ
関東管領職と共に継承した上杉家の格式高い紋。竹の輪の中に舞う雀を配した優美な意匠。


北条 早雲ほうじょう そううん
対い蝶・北条対い蝶
むかいちょう・ほうじょうむかいちょうd
下剋上の先駆けとなった戦国大名の祖。「伊勢新九郎」時代の早雲は対い蝶紋を使用したとされ、氏康以降は三つ鱗を主に用いたとされる。


北条 氏康ほうじょう うじやす
三つ鱗・北条鱗
みつうろこ・ほうじょううろこ
二等辺三角形に近く、天地が潰れた形が特徴。後北条氏宗家の独占紋とされる。


伊達 政宗だて まさむね
竹に雀
たけにすずめ
仙台笹として伊達家を象徴する紋とされる。伊達家は紋の数が多いことで知られ、多くの替紋が見られる。


毛利 元就もうり もとなり
一文字三星
いちもんじさんせい・いちもんじみつぼし
「毛利三つ星」とも。「一」は勝利、三星は戦いの神を指すとされる。中国地方の覇者として、一族の結束を願う象徴的家紋。


今川 義元いまがわ よしもと
赤鳥
あかとり
定紋は「二つ引き両」とされ、この「赤鳥」は主に旗印・馬印などに用いられたとされる。「赤鳥」は「垢取り」のあて字とされ、櫛の歯の汚れや馬の汚れをとるものといわれる。


斎藤 道三さいとう どうさん
二頭立波
にとうたつなみ・ふたがしらたつなみ
道三の肖像画にも残される二つの波頭が立つ動的な紋。一代で美濃の国主に上り詰めた道三の荒波のごとき生涯を象徴するような意匠。


浅井 長政あざい ながまさ
三つ盛り亀甲に花菱
みつもりきっこうにはなびし
亀甲の中に花菱を配した華麗な紋。北近江の盟主・浅井氏の気品と伝統を象徴する。

朝倉 義景あさくら よしかげ
三つ盛り木瓜
みつもりもっこう
越前一乗谷に栄華を極めた名門・朝倉氏の格式を示す。室町文化の気品を漂わせる美的完成度の高い幾何学紋。

三好 長慶みよし ながよし
三つ柏
みつかしわ
柏紋の一種で、阿波より興り畿内を制した三好氏の紋。

松永 久秀まつなが ひさひで
蔦
つた
蔦紋は武家に広く見られる植物紋の一つ。生命力の強い蔦を意匠化。

長宗我部 元親ちょうそかべ もとちか
丸に七つ方喰
まるにななつかたばみ
繁殖力が強い方喰(かたばみ)を七つ配した独特の構成。土佐の覇者としての独立独歩の気風を示す。

筒井 順慶つつい じゅんけい
軸梅鉢
じくうめばち
大和を支配した智将。花弁の間に「軸(しべ)」が描かれる「軸梅鉢」は、筒井家を象徴する独特の意匠。

大友 宗麟おおとも そうりん
抱き杏葉
だきぎょうよう
馬具由来の「杏葉」を配した九州の名門・大友氏の象徴。独自のキリシタン文化と共に歴史に刻まれた。

島津 義弘しまづ よしひろ
筆文字の十字
ふでもじのじゅうじ
島津氏の紋は「丸に十字」とされるが、義弘は丸枠のない筆書きの十字を用いたのではないかとされる。

龍造寺 隆信りゅうぞうじ たかのぶ
変わり十二日足
かわりじゅうにひあし
日足紋の一種。肥前の熊・隆信が九州三強の一角として勢威を誇った証か。

佐竹 義重さたけ よししげ
五本骨扇に月丸・佐竹扇
ごほんぼねおうぎにつきまる・さたけおうぎ
常陸源氏の名門・佐竹氏の誇りを示す扇紋。「常陸の鬼」と呼ばれた義重の勇猛さを支えた。

宇喜多 秀家うきた ひでいえ
剣片喰
けんかたばみ
繁殖力の強い方喰に「剣」を添えたこの紋は、武家の家運長久と、鋭い武勇への願いが込められる。

小早川 隆景こばやかわ たかかげ
左三つ巴
ひだりみつどもえ
毛利元就の三男。小早川家の巴紋を掲げ、毛利一族の重鎮として西国支配を支えた。

足利 義昭あしかが よしあき
二つ引き両
ふたつひきりょう
室町幕府最後の将軍。源氏の棟梁としての権威と、中世武家社会の秩序を象徴する格式高き紋。

本願寺 顕如ほんがんじ けんにょ
九条下がり藤
くじょうさがりふじ
藤原氏を祖とする本願寺の格式を示す。織田信長と長年にわたり抗争した宗教権力の象徴。

相馬 義胤そうま よしたね
繋ぎ馬
つなぎうま
馬と共に歩んだ相馬氏の伝統紋。野馬追の神事と共に現代まで伝わる武士の魂を宿した意匠。

里見 義堯さとみ よしたか
丸に二つ引き
まるにふたつひき
清和源氏新田氏の流れを汲む里見氏。房総の海を制した実力者の正統性を示す簡潔な紋。

蘆名 盛氏あしな もりうじ
丸に三つ引き
まるにみつひきりょう
三浦一族の伝統を継承する引両紋。奥州会津の覇者としての重厚な権威を象徴する。

太田 道灌おおた どうかん
太田桔梗
おおたききょう
江戸城の築城者として知られる。明智家の桔梗とは異なる花びらに丸みがある独自の図案。

大内 義隆おおうち よしたか
大内菱
おおうちびし
周防の大名。図柄は義隆の時代に用いられた形状。一般には花を配した紋が挙げられることが多い。

南部 信直なんぶ のぶなお
南部対い鶴
なんぶむかいづる
陸奥の雄。二羽の鶴が向き合う格式高い紋は、南部氏の由緒と北方での威容を物語る。

鍋島 直茂なべしま なおしげ
鍋島杏葉
なべしまぎょうよう
佐賀藩の祖。九州の覇者が憧れた「杏葉(ぎょうよう)」を、鍋島家独自の洗練された図案へと変えた。

明智 光秀あけち みつひで
桔梗
ききょう
光秀の桔梗は「水色桔梗」として知られるが、桔梗紋は白もしくは黒で、地色を水色として用いることがあったとされる。(参考:明智継承会)

柴田 勝家しばた かついえ
二つ雁金
ふたつかりがね
「権六」の通称で恐れられた猛将。雁(かり)は群れをなして飛ぶことから一族の結束を、その鳴き声は「勝利」を呼ぶと信じられた。

丹羽 長秀にわ ながひで
丹羽筋違
すじかい
「×」印の極めて簡潔な紋。織田家の双璧として堅実に支えた長秀の質実剛健な人柄を表す。

前田 利家まえだ としいえ
梅鉢
うめばち
学問の神・菅原道真の末裔を称する前田氏の紋。加賀百万石の礎を築いた利家が誇りとした優美な紋。

石田 三成いしだ みつなり
大一大万大吉
だいいちだいまんだいきち
「一人が万人のため、万人が一人のために尽くせば天下は吉となる」という、私心を捨てて義に殉じた三成の掲げた理想の政治思想を象徴する旗印の紋との解釈がある。

大谷 吉継おおたに よしつぐ
対い蝶
むかいちょう
二羽の蝶が向き合う。三成との友情に殉じた吉継の、繊細かつ強靭な精神を物語る紋。

加藤 清正かとう きよまさ
蛇の目
じゃのめ
同心円を重ねたシンプルかつ強烈な意匠。清正は桔梗紋も用い、他に「折墨(おりずみ)」という独占紋も見られる。

福島 正則ふくしま まさのり
福島沢瀉
ふくしまおもだか
沢瀉(おもだか)は、葉の形が矢尻に似ていることから「勝軍草」と呼ばれた縁起の良い紋。福島家では花が描かれるのが特徴。

黒田 孝高(官兵衛)くろだ よしたか(かんべえ)
左三つ藤巴(黒田藤巴)
ひだりみつふじともえ(くろだふじともえ)
藤の花を巴状に配した紋。知略で戦国を生き抜いた天才軍師の知性と再生の象徴か。

竹中 半兵衛たけなか はんべえ
九枚笹
くまいざさ
清廉な笹紋。秀吉に天下を夢見させた早世の軍師の無欲で清らかな生き方を投影する。

本多 忠勝ほんだ ただかつ
丸に右離れ立ち葵
まるにみぎはなれたちあおい
葵葉が垂直に立つ。戦国最強の武人が掲げた徳川家への揺るぎない忠義と無双の象徴。

井伊 直政いい なおまさ
井伊橘
いいたちばな
常緑の橘は不老不死の象徴。「井伊の赤鬼」として戦場を朱に染めた直政の若き勇猛さの証。

榊原 康政さかきばら やすまさ
榊原源氏車
さかきばらげんじぐるま
車輪を図案化した紋。徳川政権樹立を支えた文武両道の名将、康政の端整な実力を象徴する。

真田 昌幸さなだ まさゆき
結び雁金
むすびかりがね
表紋の六文銭に対し、平時の定紋。知略で小国を守り抜いた昌幸の一族への情愛を示す平和な紋。

真田 信繁(幸村)さなだ のぶしげ(ゆきむら)
六文銭
ろくもんせん
三途の川の渡し賃。大坂の陣で散った「日本一の兵」の、徳川を震え上がらせた死を恐れぬ覚悟を物語る有名な紋。

直江 兼続なおえ かねつぐ
亀甲に花菱
きっこうにはなびし
上杉家を支えた「義」の執政。兜の「愛」の前立とともに景勝への忠義を貫いた生涯を象徴する。

山県 昌景やまがた まさかげ
桔梗
ききょう
赤備えを率い、凄まじい勢いで敵陣を砕く波の如き武勇を示す。武田軍団の最前線を担った名将の証。

馬場 信春ばば のぶはる
花菱
はなびし
「不死身の鬼美濃」と称された名将。武田四天王筆頭としての冷静沈着さと、一族の品格を示す花菱紋。

大久保 忠世おおくぼ ただよ
大久保藤
おおくぼふじ
徳川重臣。藤紋は生命力が強く長寿を意味する。大久保家の「藤」は、多くの藤紋の中でも独自の構成を持つ端正な意匠。

島 左近しま さこん
三つ柏・三葉柏
みつかしわ・みつばかしわ
三成が禄の半分を与えて迎えたとされる猛将。家紋は不明で、この紋は屏風絵に残された旗紋とされる。

蒲生 氏郷がもう うじさと
蒲生対い鶴
がもうむかいづる
二羽の鶴が向き合う格式高い紋。茶人・キリシタンとしても知られる氏郷の洗練された美意識を物語る。

服部 半蔵はっとり はんぞう
源氏車輪に並び矢
げんじぐるまわにならびや
徳川家を陰で支えた伊賀服部一族の象徴。忍びの伝統と、闇夜を駆けた矜持を車輪の意匠に宿す。

立花 宗茂たちばな むねしげ
中結祇園守
なかゆいぎおんまもり
「西国無双」と称えられた義の武将。独特の祇園守紋は彼の生き様を象徴するか。

細川 忠興ほそかわ ただおき
九曜
くよう
江戸期には中心から円を離した「細川九曜」と呼ばれる紋が使われたとされるが、この九曜を使い始めたのは忠興の代からとされる。

高山 右近たかやま うこん
七曜
しちよう
信仰を貫いたキリシタン大名。北斗七星を意匠化した紋は、乱世にあっても揺らがぬ崇高な精神を映し出している。

蜂須賀 家政はちすか いえまさ
丸に左卍・蜂須賀卍
まるにひだりまんじ・はちすかまんじ
阿波徳島藩の祖。父・小六と共に豊臣政権を支えた。

滝川 一益たきがわ かずます
丸に竪木瓜
まるにたてもっこう
織田家の中心的武将の一人。信長と同じ「木瓜」を賜りながらも、木瓜を縦に配置した紋とし、主君への敬意と独自性を示した。

藤堂 高虎とうどう たかとら
藤堂蔦
とうどうつた
築城の名手。主君を幾度も変えながらも実力で道を切り拓いた生き様を、壁を這い上がる蔦の生命力に重ねた。

山内 一豊やまうち かずとよ
丸に土佐柏
まるにとさかしわ
堅実な歩みで土佐一国を領した知将。「土佐柏」とされる柏紋は、通常の三つ柏より葉の形状が細い。

酒井 忠次さかい ただつぐ
方喰
かたばみ
徳川四天王筆頭。踏まれても根を張る方喰の強靭さに、家康を支え続けた忠義を重ねる。後に「丸」が加えられたとも伝わる名家伝統の紋。

仙石 秀久せんごく ひでひさ
永楽銭・永楽通宝銭
えいらくせん・えいらくつうほうせん
永楽通宝は当時流通した貨幣。戦場での「銭」は、死後、三途の川を渡る賃(六文銭)を意味し、不退転の覚悟を示すものとされる。

京極 高次きょうごく たかつぐ
平四つ目
ひらよつめ
近江の名門・京極氏。整然と並ぶ四つの正方形は、土地の区画や結束を意味し、名家としての誇りと支配の正統性を示す幾何学紋。

森 長可もり ながよし
森鶴の丸
もりつるのまる
「鬼武蔵」と恐れられた猛将。荒々しい戦いぶりとは対照的な優美な鶴の丸紋は、森家の高い格式を物語る。

片桐 且元かたぎり かつもと
片桐鷹の羽・違い鷹の羽
かたぎりたかのは・ちがいたかのは
片桐氏の鷹の羽は、通常の鷹の羽紋と違い半身の形で「片切り」の韋か。豊臣家を支え、苦悩の末に徳川へ転じた且元の複雑な立場を物語る独占紋。
