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拍手喝采
はくしゅかっさい
作家
作品

夏目漱石

【中味と形式 ――明治四十四年八月堺において述――】

高原君はしきりに聴衆諸君に向って厭(いや)になったら遠慮なく途中で御帰りなさいと云われたようですが私は厭になっても是非聴いていていただきたいので、その代り高原君ほど長くはやりません。この暑いのにそう長くやっては何だか脳貧血でも起しそうで危険ですからできるだけ縮(ちぢ)めてさっさと片づけますから、その間は帰らずに、暑くても我慢をして、終った時に拍手喝采(かっさい)をして、そうしてめでたく閉会をして下さい。

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佐藤紅緑

【ああ玉杯に花うけて】

この溢(あふ)るるごとき群衆をわけて浦和中学の選手が英気さっそうとして場内に現われた、揃いの帽子ユニフォーム、靴下は黒と白の二段抜き、靴のスパイクは日に輝き、胸のマーク横文字の urachu はいかにも名を重んずるわかき武士のごとく見えた。
 見物人は拍手喝采(はくしゅかっさい)した、すねあてとプロテクターをつけた肩幅の広い小原は、マスクをわきにはさみ、ミットをさげて先頭に立った、それにつづいて眉目秀麗(びもくしゅうれい)の柳光一、敏捷(びんしょう)らしい手塚、その他が一糸みだれずしずかに歩を運んでくる。


「畜生(ちくしょう)め、どこかにかくれてるんだ」
 こういったときふたたび電灯が消えた。
「この間に手塚が逃げてくれればいい」と光一は思った。とこのとき彰義隊は拍手喝采した。
「やあやあ、近藤勇(こんどういさみ)だ、やあやあ」
 かれは「幕末烈士近藤勇」という標題を見て拍手したのであった。とすぐちょんまげの顔が現われた。


 なんともいいようのない厳粛な気が会場を圧してしばらく水をうったように沈黙したかと思うと急に拍手喝采が怒濤のごとくみなぎった。手塚はどこへ行ったか姿が見えない。千三は呼吸もつけなかった。かれは光一の論旨には一点のすきもないと思った。

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内村鑑三

【後世への最大遺物】

それでキリスト教の演説会で演説者が腰を掛けて話をするのはたぶんこの講師が嚆矢(こうし)であるかも知れない(満場大笑)、しかしながらもしこうすることが私の目的に適(かな)うことでございますれば、私は先例を破ってここであなたがたとゆっくり腰を掛けてお話をしてもかまわないと思います。これもまた破壊党の所業だと思(おぼ)し召されてもよろしゅうございます(拍手喝采)。

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宮本百合子

【ソヴェト・ロシアの素顔】

自分は死んだとワイワイ泣くと、電気が消えて、レントゲンが消えて、また元の自分になって印度人の子供が非常にびっくりする。それを見ている子供たちも、とても一生懸命だ。印度人の子供が安心すると、自分たちも一緒に安心して拍手喝采するというので、非常にいいところがある。

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佐藤垢石

【採峰徘菌愚】

 私らが、穴から二間ばかり離れて見物している前へ、彼が擲(な)げ出した地蜂の巣は、直径二尺ほどもあろうと思うものが五つ重ねもあった。ぱちぱちぱち、私らは拍手喝采した。

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ディッケンス
森田草平訳

【クリスマス・カロル】

 大桶の中にいた書記は我にもなく拍手喝采した。が、すぐにその不穏当なことに気が附いて、火を突っついて、最後に残った有るか無いかの火種を永久に掻き消してしまった。

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田中正造

【土地兼併の罪惡】

來る二十七日迄に堤防を築いたのを取崩せ、それをやらなければ此方から人夫を差向けると云ふ書面が、去る十三日に仕事をして居る者の所へ飛んで來た、此中でございますから役に立たぬでも私が村に居つて皆と相談しなければならぬのでございますけれども、それより此事を御訴へ申すのが非常な必要と考へまして今日は出ましたのでございます。(拍手喝采

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穂積陳重

【法窓夜話】

 歳月流るるが如く、三十年は既に過ぎ去って、今や一箇の長老となりたるボーイス師は、一日議会を傍聴した。僧侶の身として何故にと怪しむことなかれ。これ彼がかつて培いたる栴檀せんだんの二葉が、今や議場の華と咲き出でたる喜びの余りである。昔街頭にマーブルをもてあそんだ貧児は、今や演説壇上満堂の視線を一身に集めている。踔厲風発たくれいふうはつ、説き来り説き去って、拍手喝采四壁をうごかす時、傍聴席上の一老僧はソーッとハンケチをポケットから引出して目に押当てた。

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木下尚江

【火の柱】

「勿論、我々労働者は社会主義の空論を排斥するのである、非戦論なんて云ふ書生論に捲(ま)き込まれるものとは違ふのである、我々鍛工(かぢこう)の多数は現に鉄砲を造り軍艦を造つて飯を食つて居るものである」
 松本は絶叫せり、拍手喝采(はくしゆかつさい)の響は百雷落下と凝はれぬ、

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相馬愛蔵

【私の小売商道】

 今や全国の新聞雑誌にいわゆる世の成功者なるものの経歴談や逸話を掲載しないものなく、またこれが大いに今日の時勢に投じたものと見え、すこぶる世人の拍手喝采を受けているようである。久しく腐れ文学に頭脳を萎えさせていた日本人は、日に月に追窮し来る生活のために酔夢愕然として醒め来り、ようやく真面目に立ち帰らねばならぬ今日となり、一も実業、二も実業と、実業熱の大流行を来たし、ほとんどその極度に達した。

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国枝史郎

【柳営秘録かつえ蔵】

 と、公孫樹の頂上(てっぺん)から、何やらスーッと下(お)りて来た。それは小さな鳥籠であった。誰が鳥籠を下ろしたんだろう? それでは高い公孫樹の梢に、鬼小僧の仲間でもいるのだろうか? それに洵(まこと)に不思議なのは鳥籠を支えている縄がない。鳥籠は宙にういていた。これには見物も吃驚(びっくり)した。ワーッと拍手喝采が起こった。鳥籠はスルスルと下りて来た。しかし下り切りはしなかった。地上から大方一丈の宙で急に鳥籠は止まってしまった。

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林不忘

【仇討たれ戯作】

この三馬などが相当に大きな顔をしているのだから合巻読み物の世界はじつに下らない容易いところだ。今この自分、六樹園石川雅望が、このありあまる国学の薀蓄(うんちく)を傾けて敵討物を書けばどんなに受けるかしれない。大衆は低級なものだ。他愛ないものだ。拍手喝采(はくしゅかっさい)するであろう。自分の職場を荒らされて、この三馬などはどんな顔をするだろう。それを見たいものだ。一つ敵討物を書いてやろう。六樹園はそう思いつくと同時に、はたと膝を打った。眼を輝かして乗り出した。

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中里介山

【大菩薩峠 市中騒動の巻】

 米友が眼をクルクルして群集を見廻した、その面(かお)つきと身体(からだ)を見て群集はやはり笑わずにはいられません。高札(こうさつ)よりもこの方がよほど見栄(みば)えがあると思って、
「豪(えら)い!」
 拍手喝采してこの奇妙な小男の、本気になって憤慨するのを弥次(やじ)り立てて楽しもうとすると、米友はかえってそれらを相手にはしないで、欄干に結びつけてあった高札の縄目を解きにかかったから、
「おやおや」

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岡本綺堂

【寄席と芝居と】

 今日の映画女優やレビュー・ガールの支持者に対しては、ファンという外来語をあたえられているが、その当時の娘義太夫支持者に対しては、ドウスル連という名称があたえられていた。字を宛てれば、堂摺連と書くのである。その名称の由来は、義太夫のサワリの糸に連れて、ドウスルドウスルと奇声を発して拍手喝采するからである。まじめな聴衆の妨害になること勿論であるが、何分にも多数が騒ぎ立てるのであるから、彼等の跋扈(ばっこ)に任せるのほかは無かった。

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Last updated : 2022/11/23