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平談俗話
へいだんぞくわ
作家
作品

芥川龍之介

【芭蕉雑記】

実際又芭蕉は俗語のみならず、漢語をも雅語をも正したのである。
  佐夜さよ中山なかやまにて
命なりわづかの笠の下涼み
  杜牧とぼく早行さうかうの残夢、小夜の
  中山にいたりて忽ち驚く
馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり
 芭蕉の語彙ごゐはこの通り古今東西に出入してゐる。が、俗語を正したことは最も人目に止まり易い特色だつたのに違ひない。又俗語を正したことに詩人たる芭蕉の大力量もうかがはれることは事実である。成程談林だんりんの諸俳人は、――いや、伊丹いたみ鬼貫おにつらさへ芭蕉よりも一足先に俗語を使つてゐたかも知れぬ。けれども所謂平談俗話に錬金術を ほどこしたのは正に芭蕉の大手柄である。
 しかしこの著しい特色は同時に又俳諧に対する誤解を生むことにもなつたらしい。その一つは俳諧を解し易いとした誤解であり、その二つは俳諧を作り易いとした誤解である。俳諧の月並みにしたのは、――そんなことは今更弁ぜずとも好い。月並みの喜劇は「芭蕉雑談」の中に子規居士こじも既に指摘してゐる。唯芭蕉の使つた俗語の精彩を帯びてゐたことだけは今日もなほ力説せねばならぬ。さもなければ所謂民衆詩人は不幸なるウオルト・ホイツトマンと共に、芭蕉をも彼等の先達の一人に数へ上げることをはばからぬであらう。

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Last updated : 2022/11/23