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片言隻語
へんげんせきご
 ⇒ 片言隻句 ⇒ 片言隻語
作家
作品

寺田寅彦

【科学上における権威の価値と弊害】

如何に精密なる参謀本部の地図でも一木一草の位置までも写したものはない。たとえ測量の際には正確に写したものでも、山の中の木こりみちなどは二、三年のうちにはどうなるかもしれない。そこまで地図をあてにするのはあてにする方が悪いのである。権威者の片言隻語へんげんせきごまでも信ずるの弊は云うまでもない事であるが、権威を過信する弊害はあながちこれらの枝葉の問題に止まらない。もっと根本的な大方針においてもまた然りである。

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宮本百合子

【それに偽りがないならば ――憲法の規定により国民の名において裁判する――鈴木裁判長】

稲本錠之助弁護人は、フランス大革命当時の哲学者ジョセフ・ジューベールの言葉をひいて弁論した。「一体この事件がランプの光の前で検討されたものならばまだしも、今朝来被告人等の言うことをきいておりますと、ランプの光にも行かない。螢の光ぐらい。私は必ずしも真黒だ、まっくらやみの中だということは申しませんが、何にいたせ、明るい光の下において検討された事件でないということを、今朝来、被告人等の片言隻語の中から受取ったのであります」(速記録による)そして大岡越前守が「あの封建時代、みずから捕え、みずから取調べるというもっての外の裁判制度の時代ですら、今日三尺の児童も大岡裁き、大岡裁判といえば存ぜないものがないくらいの名をのこされた」(速記録による)その誠意、見識をもって本件をあつかってほしいと要望している。

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穂積陳重

【法窓夜話】

 ブラックストーン(Blackstone)が英国空前の大法律家と称せられてその名声嘖々さくさくたりし当時の事であるが、その講筵こうえんをオックスフォールド大学に開いた時、聴講の学生は千をもって数え、満堂立錐りっすいの地なく、崇仰の感に打たれたる学生は、滔々として説き来り説き去る師の講演を、片言隻語も漏らさじと、筆を飛ばしておった。この時聴衆の中に一人の年若き学生がいた。手をこまねき、頭を垂れ、眼を閉じてねむれるが如く、遂にこの名講義の一言半句をも筆記せずして講堂を辞し去った。その友人がこれを怪しんで試にこれに問うて見ると、かの青年は次の如くにこたえた。

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豊島与志雄

【広場のベンチ】

 最近になって、おかしな片言隻語が、下っ端の野呂十内の耳にもはいってきた。会社は社員そっくり抱えたまま身売りをする、との説もあった。一挙に解散してしまう、との説もあった。半官半民の会社に編成替えされる、との説もあった。其他いろいろで、互に矛盾することばかりだった。

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甲賀三郎

【支倉事件】

当時の支倉も知らぬ存ぜぬと突っ張りながらも、署長の訊問には可成感銘したのであろう。それは後の彼の自白に徴しても知られる。
 然し更にその後呪いの鬼になった彼が、此署長の訊問中の不用意な片言隻語を捕えて、いかにそれを利用したか。読者諸君は一驚を喫せられる時があるであろう。
「お話はよく分りました」
 支倉はぬっと頭を上げた。

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浜尾四郎

【殺人鬼】

「立つこともあり、立たぬこともありさ。探偵小説の御利益は、ないとも云えるし大いにあるとも云えるね」
「じや、探偵小説なんてものは、実際、君みたいな探偵に役に立つ事があるんだね」
「作そのもの全体の御利益はまず疑わしい。しかし出てくる名探偵の片言隻語のうちには、なかなか味わうべきありがたい言葉があるよ」
 彼はこういいながら、アップルパイをフォークでしきりとほおばりはじめた。

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Last updated : 2022/11/23