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匹夫之勇/匹夫の勇
ひっぷのゆう
作家
作品

三遊亭圓朝
鈴木行三校訂編纂

【業平文治漂流奇談】

  母「はい、私は喰(た)べません、餓死致します、お前の様な匹夫の勇を奮って浪島の家名を汚(けが)す者の顔を見るのが厭だから私は餓死致します、親父(おとっ)さまは早く此の世をお逝(なくな)り遊ばし、母親が甘う育てたからお前が左様なる身持になり、親分とか勇肌(いさみはだ)の人と交際(つきあい)をして喧嘩の中へ入り、男達(おとこだて)とか何(なん)とか実にどうも怪(け)しからん致方(いたしかた)、不埓者め、手前も天下の禄を食(は)んだ浪島の子ではないか、


 喜「鳥渡上(あが)ろうと存じて居りましたが、今日は内職を休んで家(うち)にいた処で、丁度宜しい、まア此方へ」
  文「少々お願(ねがい)があって参りました、母が立腹を致して三日程食事をしません、種々(いろ/\)詫を致しても肯(き)きません、手前が喧嘩の中へ入り、匹夫の勇を奮い、不孝の子を見るのが厭だから餓死して意見をすると申して肯きません、此の詫ことは貴方(あなた)より外(ほか)にない、どうか貴方お詫ことを願います」

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巌谷小波

【こがね丸】

殊(こと)に対手(あいて)は年経し大虎、其方は犬の事なれば、縦令(たと)ひ怎麼(いか)なる力ありとも、尋常に噬(か)み合ふては、彼に勝(かた)んこといと難し。それよりは今霎時、牙(きば)を磨(みが)き爪を鍛へ、まづ彼の聴水めを噛み殺し、その上時節の到(いた)るを待(まっ)て、彼の金眸を打ち取るべし。今匹夫の勇を恃(たの)んで、世の胡慮(ものわらい)を招かんより、無念を堪(こら)えて英気を養ひ以(もっ)て時節を待つには如(し)かじ」ト、事を分けたる文角が言葉に、実(げに)もと心に暁得(さと)りしものから。

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海野十三

【火薬船】

「じゃあ、船長……」
「まあ、聞け」と虎船長は、制して、
「だが、われわれは匹夫(ひっぷ)の勇をいましめなければならない」
「えっ、いまさら、匹夫の勇などとは……」
  若者連中は、匹夫の勇といわれて、おさまらない。
「まあ、しずかにしろ。――これが、わが平靖号の壮途(そうと)の最後に近い時ならば、それは、だれかがいったように、こっちの船体を、ノーマ号の船体にぶっつけ、ともに天空へふきあげられてけむりになってしまうのも、わるくない。


「なにごとも、自分のおもいどおりになるものじゃないのだ。全力をつくしても、そこには運不運というやつが入ってくる。時に利のないときにも、かならず突破しなければならぬとおし出していくのは、猪武者(いのししむしゃ)だ、匹夫の勇だ。すすむを知って、しりぞくを知らないものは、真の勇士ではない」
「じゃあ、船長は、どうしろというのですかい」
  若い船員は、虎船長の長談議にしびれを切らして、こえをかけた。

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Last updated : 2022/11/23