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付和雷同/附和雷同
ふわらいどう
作家
作品

島崎藤村

【夜明け前 第一部下】

自分はもとより対外硬の意見で、時局がここまで切迫して来ては攘夷の実行もやむを得まいと信ずる、攘夷はもはや理屈ではない、しかし今の京都には天下の義士とか、皇大国の忠士とか、自ら忠臣義士と称する人たちの多いにはうんざりする、ともある。景蔵はその手紙の末に、自分もしばらく京都に暮らして見て、かえって京都のことが言えなくなったとも書き添えてある。
  日ごろ、へりくだった心の持ち主で、付和雷同なぞをいさぎよしとしない景蔵ですらこれだ。この京都便りを読んだ半蔵にはいろいろなことが想像された。同じ革新潮流の渦(うず)の中にあるとは言っても、そこには幾多の不純なもののあることが想像された。その不純を容(い)れながらも、尊王の旗を高くかかげて進んで行こうとしているらしい友だちの姿が半蔵の目に浮かぶ。

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島崎藤村

【夜明け前 第二部下】

福沢諭吉(ふくざわゆきち)、板垣退助(いたがきたいすけ)、植木枝盛(えもり)、馬場辰猪(たつい)、中江篤介(とくすけ)らの人たちが思い思いに、あるいは文明の急務を説き、あるいは民権の思想を鼓吹(こすい)し、あるいは国会開設の必要を唱うるに至った。真知なしには権利の説の是非も定めがたく、海の東西にある諸理想の区別をも見きわめがたい。ただただわけもなしに付和雷同する人たちの声は啓蒙(けいもう)の時にはまぬがれがたいことかもしれないが、それが郷里の山林事件にまで響いて来るので、半蔵なぞはハラハラした。物を教える人がめっきり多くなって、しかも学ぶに難い世の中になって来た。良心あるものはその声にきいて道をたどるのほかはなかったのである。

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小栗虫太郎

【潜航艇「鷹の城」】

 それが今日、維納(ウイン)の噂に高い鉄仮面で、フォールスタッフの道化面を冠った一人の男が、郊外ヘルマンスコーゲル丘のハプスブルグ望楼に幽閉されていると云うのです。
  そうなって、重大な国家的犯罪者らしいものと云えば、まず艇長をさておき外にはないのですから、その陋策がまんまと図星を射抜きました。そして、情けないことに墺太利(オーストリヤ)国民は、付和雷同の心理をうかうかと掴み上げられてしまったのです。

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織田作之助

【夜の構図】

「権威」――あるいは「流行」といいかえてもいい。権威ある思想、神聖なる観念は流行する。猫も杓子もこれに追従するか、もしくはこれを楯に取る。個性がイデオロギーの中に埋没する。信吉は附和雷同しない自分の個性を守るために、敢て「神聖」に挑戦するのである。むろん、彼は一流文学の観念を信じている。しかし、その観念を説く人を信用しない。その人が一流でないという点を、あるいは滑稽に、あるいは不愉快にかぎつけるのだ。

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岸田國士

【日本映画の水準について】

 これに反して、日本映画の方に親しむ人々は、必ずしも保守的ではないかも知れぬが、西洋文化に対する興味や関心が薄く、日本の現状をそのまゝ享け容れる素朴さがあり、従つて、想像力と批評精神に乏しく、「知つてゐることしかわからない」頭脳の持主で、日本国民の「健実な(?)」部分には違ひないが、同時に頼りない附和雷同の徒である。

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太宰治

【乞食学生】

「事情なんか、どうだっていいじゃないか。僕の出発を、君は喜んでくれないのか? 君は、エゴイストだ。」
「いや、ちがいます。」熊本君も、こんどは敢然と報いた。「僕は、物事を綿密に考えてみたいんだ。納得出来ない祝宴には 附和雷同ふわらいどうしません。僕は、科学的なんです。」
「ちえっ!」佐伯は、たちまち嘲笑した。「自分を科学的という奴は、きまって科学を知らないんだ。科学への、迷信的なあこがれだ。無学者の証拠さ。」

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三好十郎

【その人を知らず】

静代 卑劣だと思うのよ、罪もない人を、おおぜいでイジメるの! 卑怯よ! みんな、卑怯だわ! それも、ホントウにシンから国のためを思って……つまり自分もホントウに国のために命を投げ出してかかっている人が、その事をフンガイするのなら、まだわかるけれど、たいがい、忠君愛国はおれ一人といったふうにノボセあがって良い気持になったり、人のオッポに[#「オッポに」は底本では「オツポに」]附いて、つまり附和雷同ね、そいでワーワーいっているのよ。私知ってるわ。ゲンに此処の工員の人に、ホントウに国のためを思って働いている人なんか、かぞえる程しきゃ居ないのよ。たいがい、しかたなしのイヤイヤながらよ。戦争のナリユキについてだって、そうだわ。もう、こうなったら負けたって勝ったって、どっちでもいいから、早くおしまいにしてくんないかなあ、というのが、たいがいの人のホントの腹の中だわ。カゲでは、みんなそういってる。それをしかし、口に出していうとしばられるもんだから、おもてむきは、忠義みたいな顔をしているんだわ。そうなのよ!

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Last updated : 2022/11/23