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▼参考書
一点無私
いってんむし
ほんのわずかな私心、私欲もないこと。また、そのさま。
作家
作品

樋口一葉

【琴の音】

 頃は神無月はつ霜この頃ぞ降りて、紅葉の上に照る月の、誰が砥((と))にかけて磨((みが))きいだしけん、老女が化粧((けはひ))のたとへは凄し、天下一面くもりなき影の、照らすらん大廈((たいか))も高楼も、破屋(わらや)の板間の犬の臥床((ふしど))も、さては埋((う))もれ水((みづ))人に捨てられて、蘆のかれ葉に霜のみ冴ゆる古宅の池も、筧((かけひ))のおとなひ心細き山した庵((いほ))も、田のもの案山子((かがし))も小溝の流れも、須磨も明石も松島も、ひとつ光りのうちに包みて、清きは清きにしたがひ、濁れるは濁れるまに/\、八面玲瓏一点無私のおもかげに添ひて、 澄((すみ))のぼる琴のね何処までゆくらん、うつくしく面白く、清く尊く、さながら天上の楽にも似たりけり。

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中根雪江

【丁卯日記 慶応三年十二月九日条】

中山殿より先ず一点無私の公平を以て、王政の御基本建てさせられ度き叡旨の趣御発言にて、夫より徳川氏の弊政、殆ど違勅ともいふべき条々少からず、今内府政権を還し奉るといへども、其の出る処の正邪を弁じ難ければ、実蹟を以てこれを責譲すべしなど、縉紳諸卿論議あるに、土老侯大声を発して、

 
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Last updated : 2025/12/26