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干将莫耶
かんしょうばくや |
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作家
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作品
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中里介山 |
【大菩薩峠 椰子林の巻】
がんりきが講釈をはじめました。これは驚くべきことで、手の人、足の人であったこの野郎は、今晩は口の人に転向してしまって、まかり間違えば、ここでもお喋り坊主の株をねらう奴が、やくざの中から現われようとは、ところがらとはいえ、ふざけた野郎と言わなければならぬ。これを、「ふん、ふん」 と聞いているから、この手のふざけた野郎が、いよいよいい気になって、 「さあ、これは数の取引でござんすが、今度は物でござんすよ、この賽っ粒というやつが、バクチの方では 「大したものだ!」 |
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