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▼参考書
迦陵頻伽
かりょうびんが
作家
作品

紫式部
與謝野晶子訳

【源氏物語 紅葉賀】

 源氏の中将は青海波(せいがいは)を舞ったのである。二人舞の相手は左大臣家の頭中将(とうのちゅうじょう)だった。人よりはすぐれた風采(ふうさい)のこの公子も、源氏のそばで見ては桜に隣った深山(みやま)の木というより言い方がない。夕方前のさっと明るくなった日光のもとで青海波は舞われたのである。地をする音楽もことに冴(さ)えて聞こえた。同じ舞ながらも面(おもて)づかい、足の踏み方などのみごとさに、ほかでも舞う青海波とは全然別な感じであった。舞い手が歌うところなどは、極楽の迦陵頻伽(かりょうびんが)の声と聞かれた。源氏の舞の巧妙さに帝は御落涙あそばされた。陪席した高官たちも親王方も同様である。

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幸田露伴

【風流仏】

珠運(しゅうん)も思い掛(がけ)なく色々の始末に七日余り逗留(とうりゅう)して、馴染(なじむ)につけ亭主(ていしゅ)頼もしく、お辰(たつ)可愛(かわゆ)く、囲炉裏(いろり)の傍(はた)に極楽国、迦陵頻伽(かりょうびんが)の笑声(わらいごえ)睦(むつま)じければ客あしらいされざるも却(かえっ)て気楽に、鯛(たい)は無(なく)とも玉味噌(たまみそ)の豆腐汁、心協(あ)う同志(どし)安らかに団坐(まどい)して食う甘(うま)さ、或(あるい)は山茶(やまちゃ)も一時(いっとき)の出花(でばな)に、長き夜の徒然(つれづれ)を慰めて囲い栗(ぐり)の、皮剥(むい)てやる一顆(いっか)のなさけ、嬉気(うれしげ)に賞翫(しょうがん)しながら彼も剥(む)きたるを我に呉(く)るゝおかしさ。

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高村光雲

【幕末維新懐古談 彫刻修行のはなし】

 それから、また、本体に附属した後光がある。船(ふな)後光の正式は飛天光という。天人と迦陵頻伽(かりょうびんが)、雲を以(もっ)て後光の形をなす。その他雲輪光(うんりんこう)、輪後光、籤(ひご)の光明(これは来迎仏(らいごうぶつ)などに附けるもの)等で各々真行草(しんぎょうそう)があります。余は略す。

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泉鏡花

【七宝の柱】

 さて経蔵(きょうぞう)を見よ。また弥(いや)が上に可懐(なつかし)い。
 羽目(はめ)には、天女――迦陵頻伽(かりょうびんが)が髣髴(ほうふつ)として舞いつつ、かなでつつ浮出(うきで)ている。影をうけた束(つか)、貫(ぬき)の材は、鈴と草の花の玉の螺鈿(らでん)である。

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長谷川時雨

【四人の兵隊】

 それをきいた時の感は、迦陵頻伽(がりようびんが)の聲とは、かうもあらうかと忝けなかつた。含みのある、美しき情(なさけ)に富んだ聲音(こはね)――きくうちに、わたしの心は、花が開くときもまたかうもあらうかと思ふ、和(やは)らぎにみたされた。
 ――好い娘(こ)をもつた。

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Last updated : 2025/12/26