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乾坤一擲
けんこんいってき
運命をかけていちかばちかの大勝負をすること。「一擲乾坤」とも。
作家
作品

太宰治

【おしゃれ童子】

北方の海軍士官は、情無く思いました。やがて、その外套を止しました。さらに一枚、造りました。こんどは、黒のラシャ地を敬遠して、コバルト色のセル地を選び、それでもって再び海軍士官の外套を試みました。 乾坤一擲けんこんいってきの意気でありました。襟は、ぐっと小さく、全体を更に細めに華奢きゃしゃに、胴のくびれは痛いほど、きゅっと締めて、その外套を着るときには、少年はひそかにシャツを一枚脱がなければならなかったのでした。

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寺田寅彦

【LIBER STUDIORUM】

 臆病者おくびょうものの常として自分もしばしば高い所から飛びおりることを想像してみることがある。乾坤一擲けんこんいってきという言葉はこんな場合に使ってはいけないだろうが、自分にはそういう言葉が適切に思い出される。飛びおりてしまえば自分にはその建物もその所有者も、国土も宇宙も何もかも一ぺんに永久に無くなるのだから、飛ぶ場所の適否の問題も何もないであろうが、他の人にはやっぱり世界は残存しその建物と事件の記憶は残るであろう。

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野上豐一郎

【「草衣集」はしがき】

此の「はしがき」を書いて居る時、新聞はしきりに除州の攻略の切迫を伝えて居る。恐らくこれが今度の事変の結末の大戦であろうとも伝えられている。もしそうだとすると、『草衣集』は事変の全期間を要してやっと生れ出るわけである。日本は乾坤一擲の大事業をやって居るのに、私の『草衣集』はようやく斯んなあわれな出現を見たに過ぎない。

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岸田國士

【国防と文化】

 が、私は、もう一度、ほんとうにそれでいゝのかとみなさんに伺いたい。
 今日たゞいま、われわれの日本のおかれている運命は、まさにさし迫った乾坤一擲の大勝負によって決せられるのであります。

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小酒井不木

【深夜の電話】

 けれども今度という今度は事情が事情だから猶予することができない。そこで横浜警察署でも、いわば乾坤一擲けんこんいってきの大勝負をするつもりで取りかかったんだ。

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海野十三

【蠅男】

 鬼神「蠅男」と探偵帆村とは、何も知らずに睡っている糸子を間に挟んで、物凄くにらみ合った。
 風か雨か、はた大噴火か。乾坤一擲けんこんいってきの死闘を瞬前にして、身構えた両虎の低い呻り声が、次第次第に高く盛りあがってくる。――

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中里介山

【大菩薩峠 山科の巻】

天下の志士共は、今、政権の向背について血眼ちまなこになっておりますが、商人といわず、財力を持つものも懐ろ手をして油断をしている時ではありません、ここで油断をすると落伍する、ここで機を見て最も有効に投資をして置くと、将来は大名公家の咽喉首のどくびを押えて置くことになる――ところでお嬢様、三井、鴻池などの身のふりかたはひとごと、これをあなた様御自身に引当ててごらんになると、いかがでございます、このままたからを抱えて、安閑として成るがままに任せてお置きになりますか、但しは、ここで乾坤一擲けんこんいってき――」
 不破の関守氏が、つまり今までの形勢論は、話の筋をここまで持って来る伏線でありました。

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小栗虫太郎

【黒死館殺人事件】

しかし、法水が心中何事を企図しているのか知る由はないといっても、その眉宇びうの間にうかんでいる毅然きぜんたる決意を見ただけで、まさに彼が、乾坤一擲けんこんいってき大賭博おおばくちを打たんとしていることは明らかだった。間もなく、この胸苦しいまでに緊迫した空気の中を、乙骨医師と入れ違いに、ばれた田郷真斎が入って来ると、さっそく法水は短刀直入に切り出した。

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吉川英治

【私本太平記 筑紫帖】

 出陣の辞はままある例だが、こんなにも長くまた熱をこめて尊氏が言ったなどの例は、左右の将ですら覚えがない。
 第一、尊氏はなかなか急を見ても腰をあげないたちだし、よほどでないと、 乾坤一擲けんこんいってきといったような大勝負には出ないほうの人である。――だから尊氏をよく知る者ほど、この出陣の辞には、胸をうたれたし、そしてひどく気負ってもいないことばの正直さにかえって駈引のない覚悟をも、ひきしめられた。
 事実、その言は決して彼の希望的な観測だけのものではなかった。少弐頼尚よりひさの意見をきき、また諸情報の綜合などからも、尊氏自身、かたく信じていたのである。

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Last updated : 2022/11/23