旧慣墨守
きゅうかんぼくしゅ
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作家
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作品
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【勝川花菊の一生】
ある時、急に社会が外面的に欧化心酔した。それは明治十八年頃のいわゆる鹿鳴館時代で、晩年にはあんなゴチゴチの国粋論者、山県元帥でさえ徹宵ダンスをしたり、鎗踊りをしたという、酒池肉林、狂舞の時期があった。吉原大籬の遊女もボンネットをかぶり、十八世紀風のひだの多い洋服を着て椅子に凭りかかって張店をしたのを、見に連れてゆかれたのを、私はかすかに覚えている。わが日本橋区の問屋町は、旧慣墨守、因循姑息
の土地だけに二、三年後にジワジワと水の浸みるようにはいって来た。
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【ジャン・クリストフ 第六巻 アントアネット】
試験が始まった。オリヴィエはも少しで試験を受けられないところだった。彼は気分がよくなかった。そしてまた、ほんとうに病気になったほうがいいと思うほど、及第してもしなくてもとにかく経なければならない心痛を、非常に恐れていた。がこんどは、筆記試験にはかなり成功した。しかし通過か否かの成り行きを待つのはつらいことだった。革命の国でありながら世にもっとも旧慣墨守の国たるこの国の、ごく古くからの習慣に従って、試験は七月に、一年じゅうのもっとも酷暑のころに、行なわれたのだった。
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Last updated : 2025/09/19