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小春日和
こはるびより
作家
作品

永井荷風

【買出し】

十月初、雲一ツなく晴れわたつた小春日和。田圃の稲はもう刈取られて畦道あぜみちに掛けられ、畠には京菜と大根の葉が毛氈でも敷いたやうにひかつてゐる。百舌もずの鳴きわたる木々の梢は薄く色づき、菊や山茶花のそろ/\咲き初めた農家の庭には柿が真赤に熟してゐる。

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泉鏡花

【若菜のうち】

上等の小春日和こはるびよりで、今日も汗ばむほどだったが、今度は外套を脱いで、杖のさきには引っ掛けなかった。

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若山牧水

【秋草と虫の音】

自分の好みからか、いつ知らず私は野原の花ばかりを挙げて来た。庭の花に、ダリヤあり、コスモスあり、鶏頭がある。
 ダリヤは夜深く机の上に見るがよく、コスモスは市街のはづれの小春日和を思はせる。鶏頭はまた素朴な花で、隠れむ庭の隅などに咲くべきであらう。

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国木田独歩

【鹿狩り】

さて弁当を食いしまって、叔父さんはそこにごろりと横になった。この時はちょうど午後一時ごろで冬ながら南方温暖の地方ゆえ、小春日和こはるびよりの日中のようで、うらうらと照る日影は人の心も筋もけそうになまあたたかに、山にも枯れ草まじりの青葉少なからず日の光に映してそよ吹く風にきらめき、

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黒島傳治

【四季とその折々】

麦播きがすむと、彼等はこんどは、枯野を歩いて寺や庵をめぐり、小春日和の一日をそれで過すのをたのしみとしているのだ。

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種田山頭火

【行乞記 三八九日記】

十二月廿九日 晴、紺屋町から春日駅へ、小春日和の温かさ。

或る人へのたよりに、『……こゝへ移つて来てから、ほんたうにしづかな時間が流れてゆきます、自分自身の寝床――たとへそれはどんなにみすぼらしいものであつても――を持つてゐることが、こんなにも身心をおちつかせるかと、自分ながら驚いてをります、ちようど、一茶が長年待ち望んでゐた家庭を持つた時のよろこびもこんなだつたらうと、ひとりで微苦笑を禁じえませんでした。……』

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宮本百合子

【女靴の跡】

白いところに黒い大きい字でヴェルダンと書いたステーションへ降りた。あたりは実に森閑としていて、晩い秋のおだやかな小春日和のぬくもりが四辺の沈黙と白いステーションの建物とをつつんでいる。

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夢野久作

【卵】

恐る恐る雨戸を開いて見ますと、いつの間にか夜が明けて、外はアカアカとした小春日和こはるびよりでした。裏庭の隅にはまだ、コスモスの白い花が、黒い枝の間にチラリホラリと咲き残っています。

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堀辰雄

【リルケ年譜】

「いま、私はこの古い館に、全く一人きりで、住んでゐます。この館は、それがその上に屹立してゐる岩石のやうに、がつしりしてゐて、時間と海――その海の鹽は油斷も隙間もなくその館を蝕まうとしてゐるのです――に對して挑戰してゐます。この館の大きな壁は、私をまるで囚人のやうに閉ぢこめてゐます。が、ときをり私は、常春藤の群でもつてこの古い館を攻撃してゐる、急勾配をした庭園の中に、拔け出すことを許されます。ときどき小春日和のやうな數時間の續くこともありますが、日沒が早くて、四時頃から、もう冬の燈火に向はねばなりません。」(ロダン宛書翰)

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岡本綺堂

【兜】

それからふた月ほどを過ぎた十月のなかばに、兜が突然に紛失したのである。それは小春日和のうららかに晴れた日の ひるすぎで、当主の勘次郎は出番の日に当っているので朝から留守であった。

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Last updated : 2022/11/23