ご利用について
参考書
四字熟語  を     表示  件
このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
古色蒼然
こしょくそうぜん
作家
作品

夏目漱石

【倫敦消息】

せんだって「ロッチ」から古本の目録をよこした「ドッズレー」の「コレクション」がある。七十円は高いが欲い。それに製本が皮だからな。この前買った「ウァートン」の英詩の歴史は製本が「カルトーバー」で古色蒼然そうぜんとしていて実に安い掘出し物だ。しかし為替かわせが来なくっては本も買えん、少々閉口するな、そのうち来るだろうから心配する事も入るまい、

青空文庫で読む  

芥川龍之介

【毛利先生】

自分が驚いたのは、何もいないと思った客が、いたと云うばかりではない。鏡の中に映っている客の姿が、こちらへは僅に横顔しか見せていないにも関らず、あの駝鳥だちょうの卵のような、禿げ頭の恰好と云い、あの古色蒼然としたモオニング・コオトの 容子ようすと云い、最後にあの永遠に紫な襟飾ネクタイの色合いと云い、わが毛利もうり先生だと云う事は、一目ですぐに知れたからである。

青空文庫で読む  

室生犀星

【名園の落水】

そのきじの啼くだけをことさらにわたしにすいせんした南圃さんの心はすぐわたしに入りかねたが、このごろになつて古色蒼然の悠大を知つたわたしは南圃さんのその心もちを会得して、成程なあ南圃さんくらゐの年になれば古色蒼然の悠大をひとりでに解るのだと思つた。兼六公園にさへきじの声は聞かれなかつた。しかも本多家はいま此の屋敷に住んでゐないので、池の け口のさらさら流れるあたりにも、芝生や苔のある樹の下にも落葉だらけであつた。

青空文庫で読む  

田中英光

【オリンポスの果実】

練習帰りのある日。いつもの様に、独りとぼとぼ、歩いていると、背後から、飛ばしてきた古色蒼然そうぜんたるロオドスタアがキキキキ……と止って、なかから、煙草たばこきだし、禿頭はげあたまをつきだし、容貌魁偉ようぼうかいいじいさんが、「ヘロオ、ボオイ」としゃがれた声で、呼びかけ、どぎまぎしているぼくを、自動車に乗れ、とすすめるのです。

青空文庫で読む  

豊島与志雄

【地水火風空】

 私達は芝原の中に歩み入って、碑を眺めた。円柱の南面には、長方形に削り取られた中に、もう磨滅しきった朧な仏の立像が、かすかにそれと見分けられる。北に廻ってみると、円柱の面にいきなり梵字で「キャ・カ・ラ・バ・ア」と五字刻んである、アの字の下半分が磨滅して、古色蒼然としている。キャカラバアと云えば、地水火風空の意味である。

青空文庫で読む  

生田春月

【聖書】

「まあ見たまえ」と、ワイルドの『デ・プロフンディス』や、Kさんの大好きなスウィンバアンやアーサア・シモンズの詩集の下から引出して、僕の手に渡してくれた。見るといかにも古色蒼然たるものだ。全部厚革で、製本はひどく堅牢だ。革はところどころはげたり、すりむけたりしている。縁も煤けている。何だかこう漁師町の娘でも見るような気がする。意外に軽い。

青空文庫で読む  

伊丹万作

【演技指導論草案】

○演技指導の実践の大部分を占めるものは、広い意味における「説明」である。しかし一般に百を理解している人が百を説明しきれる場合は稀有に属する。私の場合は四十パーセントがあやしい。これは自分の天性の劣弱なことにもよるが、もっと大きな原因は我々が古色蒼然たる言論蔑視の倫理に締めつけられてきたことにある。いわく「ことあげせず」。いわく「不言実行」。いわく「雄弁は銀沈黙は金」。

青空文庫で読む  

寺田寅彦

【物理学圏外の物理的現象】

 多年藤原ふじわら博士の心にかけて来られた渦巻うずまきに関する各種の現象でも、実にいろいろの不思議な問題が包蔵されているようであるが、現在までの物理学はまだそれらを問題として捕捉ほそくし解析の俎上そじょうに載せうるだけに進んでいないように見える。流体力学の専門家はその古色蒼然そうぜんたる基礎方程式を通してのみしか流体を見ないから、いつまでたってもその方程式に含まれていない種類の現象に目の明く日は来ない。

青空文庫で読む  

南部修太郎

【猫又先生】

先生の顏はそれに對してかすかにあからんだが、それは明かに私達の敬意に答へる滿足の紅潮で、また實際の處、新任挨拶の爲めに着用されたフロッコオトの黒がたと古色蒼然たるものであつたにせよ、師としての敬意に價ひするだけの感じを、私達の心に與へてゐたのである。挨拶を すました私達は緊張した心のまま席に着いて、靜かに先生の顏に視線を集中した。

青空文庫で読む  

林芙美子

【摩周湖紀行 ――北海道の旅より――】

 釧路の町は快晴で、天氣がいゝのか霧笛も鳴つてゐない。
 途中、啄木が勤めてゐたと云ふ釧路新聞社の前をとほつた。赤いレンガ建で、明治四十年頃の建物として相當新らしかつたのであらうが、いまは古色蒼然としてしまつて、何となくおさなびてゐてよかつた。

青空文庫で読む  

 
  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

おすすめサイト・関連サイト…

Last updated : 2022/11/23