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行雲流水
こううんりゅうすい
作家
作品

夏目漱石

【吾輩は猫である】

この間ある文学雑誌を見たら苦沙弥君くしゃみくんの評が出ていましたよ」「ほんとに?」と細君は向き直る。主人の評判が気にかかるのは、やはり夫婦と見える。「何とかいてあったんです」「なあに二三行ばかりですがね。苦沙弥君の文は行雲流水こううんりゅうすいのごとしとありましたよ」細君は少しにこにこして「それぎりですか」「その次にね――出ずるかと思えばたちまち消え、いてはとこしなえに帰るを忘るとありましたよ」細君は妙な顔をして「めたんでしょうか」と心元ない調子である。

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夏目漱石

【中味と形式 ――明治四十四年八月堺において述――】

ちょうど音楽の譜で、声を譜の中に押込めて、声自身がいかに自由に発現しても、その型にそむかないで行雲流水と同じくきわめて自然に流れると一般に、我々も一種の型を社会に与えて、その型を社会の人にのっとらしめて、無理がなく行くものか、あるいはここで大いに考えなければならぬものかと云うことは、あなた方の問題でもあり、また一般の人の問題でもあるし、最も多く人を教育する人、最も多く人を支配する人の問題でもある。

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坂口安吾

【行雲流水】

仏家に行雲流水という言葉があるが、ソノ子の如きは、まさしく雲水の境地を体得したものだろうと和尚は感心した。概ね雲水などというものは、至極わりきれない精神や、肉体を袈裟につゝんで諸方をハイカイするにすぎないようなものであるが、ソノ子の場合はそのような不明快なものではない。すべてはハッキリとわりきれており、要するに、お尻というものが天下を行雲流水しているだけのことである。まことに明快と云わねばならぬ。いかなる祖師も一喝をくらわせる隙がないようであった。
 ソノ子はまだ十八。普通なら、まだ女学生にすぎない発育途上の小娘であった。その姿態にはまだ未成熟なものが多く翳を残しており、お乳とお尻がにわかにムッチリと精気をこめて張りかゞやいているようであった。
 あのお尻が行雲流水していやがるか、と、和尚もいさゝか妬たましく感じる。いゝ年をして、とても一喝どころの段ではない。和尚の方が三十棒をくらう必要があるのである。

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岡本かの子

【みちのく】

それには多分に迷信性と流行性があったかも知れない。しかし少年の一点のひがみも屈託くったくもない顔つきと行雲流水のような行動とは人々の心に何か気分を転換てんかんさせ、生活に張気を起させる容易なものがあったらしい。マスコットというものはそうしたものである。

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種田山頭火

【『鉢の子』から『其中庵』まで】

だが、私はこんなに未練ぶかい男ではなかった筈だ。むろん人間としての執着は捨て得ないけれど、これほど執着するだけの理由がどこにあるか。何事も因縁時節である、因縁が熟さなければ、時節が到来しなければ何事も実現するものではない。なるようになれではいけないが、なるようにしかならない世の中である。行雲流水の身の上だ、私は雲のように物事にこだわらないで、流れに随って行動しなければならない。

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吉川英治

【宮本武蔵 地の巻】

沢庵も、これから行雲流水こううんりゅうすいの旅に向い、当分はお別れとなろうというし、武蔵もまた、きょうを第一歩として、人間修行と、兵法鍛錬の旅路に上りたいという。

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Last updated : 2022/11/23