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▼参考書
君側之悪
くんそくのあく
作家
作品

幸田露伴

【運命】

 煙は旺(さか)んにして火は遂に熾(も)えたり、剣(けん)は抜かれて血は既に流されたり。燕王は堂々として旗を進め馬を出しぬ。天子の正朔(せいさく)を奉ぜず、敢(あえ)て建文の年号を去って、洪武三十二年と称し、道衍(どうえん)を帷幄(いあく)の謀師とし、金忠(きんちゅう)を紀善(きぜん)として機密に参ぜしめ、張玉、朱能、丘福(きゅうふく)を都指揮僉事(せんじ)とし、張昺部下にして内通せる李友直(りゆうちょく)を布政司(ふせいし)参議(さんぎ)と為(な)し、乃(すなわ)ち令を下して諭して曰く、予は太祖高皇帝の子なり、今奸臣(かんしん)の為に謀害せらる。祖訓に云(い)わく、朝(ちょう)に正臣無く、内に奸逆(かんぎゃく)あれば、必ず兵を挙げて誅討(ちゅうとう)し、以(もっ)て君側の悪を清めよと。こゝに 爾(なんじ)将士を率いて之を誅せんとす。罪人既に得ば、周公の成王(せいおう)を輔(たす)くるに法(のっ)とらん。爾(なんじ)等(ら)それ予が心を体せよと。

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Last updated : 2025/12/26