ご利用について
▼参考書
無間地獄
むけんじごく
むげんじごく
作家
作品

芥川龍之介

【邪宗門】

思うにその方は何処(いずこ)かにて金剛邪禅(こんごうじゃぜん)の法を修した外道(げどう)の沙門と心得る。じゃによって一つは三宝の霊験(れいげん)を示さんため、一つはその方の魔縁に惹(ひ)かれて、 無間地獄(むげんじごく)に堕ちようず衆生(しゅじょう)を救うてとらさんため、老衲(ろうのう)自らその方と法験(ほうげん)を較べに罷(まか)り出(いで)た。

青空文庫で読む  

樋口一葉

【にごりえ】

 誰れ白鬼とは名をつけし、 無間地獄(むげんぢごく)のそこはかとなく景色づくり、何處にからくりのあるとも見えねど、逆さ落して血の池、借金の針の山に追ひのぼすも手の物ときくに、寄つてお出でよと甘へる聲も蛇くふ雉子(きゞす)と恐ろしくなりぬ、

青空文庫で読む  

三遊亭円朝

【明治の地獄】

岩「矢張(やつぱ)りあの浅草(あさくさ)の公園に在(あ)るやうな戦争の図(づ)かえ。婆「いゝえ、昔の地獄(ぢごく)の火の車や 無間地獄(むげんぢごく)などで、此方(こちら)に本当(ほんたう)の火の車が有(あ)りまして、半分(はんぶん)絵(ゑ)で描(か)いて有(あ)つて、その境界(さかひめ)がちつとも分(わか)りません、誠に感心だ、火の燃える処(ところ)が本当(ほんたう)のやうだ、怖(こは)いなんツて皆(みな)さんが仰(おつ)しやいます。

青空文庫で読む  

倉田百三

【俊寛】

俊寛 清盛よ、お前がわしに課した苛責(かしゃく)の価(あたい)をお前に知らさずにはおかぬぞ!
有王 あの清盛の前代未聞(みもん)の暴逆(ぼうぎゃく)が天罰を受けずにはおきますまい。
俊寛 今わしが流すこのあぶらのような涙をお前の歓楽の杯(さかずき)に注ぎ込んで飲まさずにはおかぬぞよ。
有王  無間地獄(むげんじごく)の苛責とても今のあなたの苦しみにまさりはいたしますまい。
俊寛 この苦しみを倍にして、七倍にしてきっとお前に報(むく)いるぞ! わしの足がまだわしの体を支える限りは。えゝ。船を出せ。船を!

青空文庫で読む  

幸田露伴

【連環記】

寂心は猶も独り感じ泣きて、彼(か)の紙の冠を攫(つか)み取りて、引破りて地に抛(なげう)ち、漣々(れんれん)たる涙を止(とど)めもあえず、何たる御房ぞや、尊くも仏弟子となりたまいながら、祓戸の神の忌みたまうとて如来の忌みたまうことを忘れて、世俗に反り、冠などして、 無間地獄(むげんじごく)に陥る業を造りたまうぞ、誠に悲しき違乱のことなり、強いて然(さ)ることせんとならば、ただここにある寂心を殺したまえ、と云いて泣くことおびただしいので、陰陽師は何としようも無く当惑したが、飽(あく)まで俗物だから、俗にくだけて打明け話に出た。

青空文庫で読む  

内藤鳴雪

【鳴雪自叙伝】

 小夜の中山の夜泣石の由来は、その前の宿で父が大体話してくれた。通りすがりに駕籠から見ると、石は道のまん中に転がっていて、上に南無阿弥陀仏と刻(え)りつけてあった。大名などの通り道だからというのでかたわらへ除けてみるが、石自身で元へ帰って来るとの話であった。この峠から遥に粟ヶ岳というが見えたが、そこにはかの無間(むげん)の鐘がある。それを撞けば、生前にはどんな望でもかなうが、死んでから必ず無間地獄に堕ちるという事を聞いたので、粟ヶ岳を見ただけでも怖しく思った。夜泣石と無間の鐘との由来は刷物になっていた。また『刃の雉』というのも刷物になっていた。これは昔或る武士が剣の如き尾羽をもった怪鳥を射殺した話であった。

青空文庫で読む  

夢野久作

【少女地獄】

この時に私がモウ少し注意深く観察していたら、彼女のそうした不安さが尋常一様のものでなかった事を容易に看破し得たであろう。「会おうと思えばいつでも会える」と言った私の言葉が、彼女にドレ程の深刻な不安を与えたか……彼女をドンナに恐ろしい脅迫観念の無間地獄に突き落したかを、その時に察し得たであろう。

青空文庫で読む  

海野十三

【地球要塞】

 解らない、解らない!
 気が変になった者が、自分で自分の変になったことを検定する方法はない。地獄だ、無間地獄の中へ落ちこんだようなものだ。
 私は、暗闇の中に竦(すく)んでしまって、化石のようになっていた。真の絶望だ!

青空文庫で読む  

南方熊楠

【十二支考 馬に関する民俗と伝説】

 前項に引いた通り、仏書に、人が父母を殺さば無間地獄に堕ちるが、畜生が双親を殺したらどうだとの問いに答えて、 聡慧(そうけい)なる者は落つれどしからざる者は落ちずとあるごとく、馬に取っては迷惑千万だろうが、その忠勤諸他の動物に挺(ぬき)んでたるを見込み、特別の思し召しもて、主人に殉し殺さるるのだ。

青空文庫で読む  

戸坂潤

【娯楽論 ――民衆と娯楽・その積極性と社会性・――】

 暇つぶしや退屈凌ぎは、まだ何等娯楽にはならぬ。娯楽には生活感の促進を催す処の、あの文化一般の素の味である処の、積極的な熱情があり、文化一般の健康感を結果する処の、あの建築的で蓄積的な生産的能力が備わっている。たといその文化的な身上があまり高くないにしてもだ。単に無間地獄に落ちないだけのための、暇つぶしや退屈凌ぎと根本的に異る所以だ。

青空文庫で読む  

 
  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

Last updated : 2026/06/22