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▼参考書
乱離骨灰/羅利骨灰
らりこっぱい
らりこはい
作家
作品

芥川龍之介

【きりしとほろ上人伝】

美々しい物の具に三尺の太刀をぬきかざいて、竜馬(りゆうめ)に泡を食(は)ませながら、これも大音に名乗りをあげて、まつしぐらに「れぷろぼす」へ打つてかかつた。なれどもこなたはものともせいで、大薙刀をとりのべながら、二太刀三太刀あしらうたが、やがて得物をからりと捨てて、猿臂(ゑんぴ)をのばいたと見るほどに、早くも敵の大将を鞍壺(くらつぼ)からひきぬいて、目もはるかな大空へ、礫(つぶて)の如く投げ飛ばいた。その敵の大将がきりきりと宙に舞ひながら、味方の陣中へどうと落ちて、 乱離骨灰(らりこつぱひ)になつたのと、「あんちおきや」の同勢が鯨波(とき)の声を轟かいて、帝の御輦(ぎよれん)を中にとりこめ、雪崩(なだれ)の如く攻めかかつたのとが、間(かん)に髪(はつ)をも入れまじい、殆ど同時の働きぢや。されば隣国の軍勢は、一たまりもなく浮き足立つて、武具馬具のたぐひをなげ捨てながら、四分五裂に落ち失(う)せてしまうた。まことや「あんちおきや」の帝がこの日の大勝利は、味方の手にとつた兜首(かぶとくび)の数ばかりも、一年の日数よりは多かつたと申すことでおぢやる。

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中里介山

【大菩薩峠 他生の巻】

……波濤(はとう)の怒りは、この世に見る最も壮観なるものの一つですね。堂々として、前路における何物をも眼中に置かずに押しかけて来るところが壮観です。来って物に当ると怒って吼(ほ)えます、そうして、たとい乱離骨灰に崩れても、崩れるその事が壮観たることを失いませぬ。

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Last updated : 2025/12/26