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利害関係
りがいかんけい
作家
作品

夏目漱石

【彼岸過迄】

ところがそうすると今度はわざと見ないふりをして傘入の傍(そば)を通るのが苦になってきて、極(きわ)めて軽微な程度ではあるけれどもこの変な洋杖におのずと祟(たた)られたと云う風になって、しまった。彼自身もついには自分の神経を不思議に思い出した。彼は一種の利害関係から、過去に溯(さかの)ぼる嫌疑(けんぎ)を恐れて、森本の居所もまたその言伝(ことづて)も主人夫婦に告げられないという弱味を有(も)っているには違ないが、それは良心の上にどれほどの曇(くもり)もかけなかった。

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夏目漱石

【予の描かんと欲する作品】

即(すなわ)ち作品として外のモーチブに支配を受けないと云う意味、更に言葉を換えて詳(くわ)しく云うならば、自分が利害関係の為めに作品を拵(こし)らえ上げたとか、或は私憤を洩(も)らす為めに書き上げたとか、総(す)べて目的の他にある所の作品は、私は作品として出来上ったとは言わない。

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岸田國士

【異性間の友情と恋愛】

 一体、友情といふものは、それ自身甚だ曖昧なもので、同性間の友情でさへ、様々な動機によつて、様々な形態を取るものである。
 例へば密接に利害関係によつて結ばれた友情、精神的に何物かを与へ合ふ、所謂肝胆相照す底の友情、共通の思ひ出がなんといふことなしに、「容(ゆる)し容される」気持にさせる友情、等々、数へ上げればいくらもあるだらうが、最も奇怪にして、しかも、甚だその例に乏しくないのは、ある型の男性とある型の男性との間に生ずる「恋愛的友情」である。

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末弘厳太郎

【小知恵にとらわれた現代の法律学】

そうしてその小知恵にもとづいて作られた法典をさらに小知恵の力でいろいろと論議をなし、これをもって「これわが法なり」と主張され教えられるのである。 そもそも法律に最も利害関係の多い人間は誰かといえば、例えば刑法についていうならば犯罪をおかした犯罪人であり、また民法についていえば、例えば金を借 りたとか物を売ったとかいうようなことで権利をもったり義務を負うたりする本人たち、それが一番法律の何たるかにつき利害関係を有する人である。

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黒島傳治

【戦争について】

人間は面白がって見物しているのに、犬は懸命の力を出して闘う。持主は自分の犬が勝つと喜び、負けると悲観する。でも、負けたって犬がやられるだけで、自分に怪我はない。利害関係のない者は、面白がって見物している。犬こそいい面の皮だ。

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戸坂潤

【科学論】

 社会科学は生産関係の内部に関して、重大な利害の関心を有つ処の科学である。この利害がこの科学の出発点を形成すると共に目標を与えるものだとさえいう ことが出来る。だがこの事情は、普通ブルジョア社会科学者や平板な常識が想像するように、社会科学の科学としての客観性を否定することを意味するのではな い。現実の経済機構が人間の利害関係の組織であることは一つの事実である。そしてこの利害関係を科学的に分析するのが社会科学の第一段階であるということ も一つの事実だ。

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坂口安吾

【青春論】

躾けよき人々は、ただ他人との一応の接触に於て、礼儀を知っているけれども、実際の利害関係が起った場合に、自己を犠牲にすることが出来るか。甘んじて人に席を譲るか。むしろ他人を傷つけて自らは何の悔いもない底の性格をつくり易いと言い得るであろう。

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寺田寅彦

【自由画稿】

これから考えても悲哀ということ自身は決していとわしい恐るべきことではなくてかえって多くの人間の自然に本能的に欲求するものであることが推測される。ただ悲哀に随伴する現実的利害関係が迷惑なのである。

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宮本百合子

【貧しき人々の群】

 そればかりか近頃では、小一里離れているK町が、岩越線の分岐点となってから、めっきりすべての有様が異って来たので、この村も少からず影響をこうむった。そして、だんだんと農民の心にみ込んで来る、都会風の鋭い利害関係の念と彼等が子供の時分から持っている種々の性癖が混合して、毎日の生活がよりあわただしく、滞りがちになって来たのである。

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有島武郎

【カインの末裔】

その日の酒は勿論(もちろん)彼れを上機嫌にした。一緒に飲んでいるものが利害関係のないのも彼れには心置きがなかった。彼れは酔うままに大きな声で戯談口(じょうだんぐち)をきいた。そういう時の彼れは大きな愚かな子供だった。

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国枝史郎

【沙漠の古都】

普通の友人の情誼(じょうぎ)としては少しく親切に過ぎるようだ。あるいは二人の間には他人に云われない利害関係が……つまり市長が探検先で不正財宝の発掘でもしてそれで財産家になったのを、あのエチガライが知っていて、世間へ発表しない代りに動物園の園長という立派な位置を得たのではないか?

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穂積陳重

【法窓夜話】

 しかしながら、家屋の不可侵を保全するには、その周囲一帯の地域の安寧が必要である。即ち家の周囲の土地については、家の所有主は各特別の利害関係を有する。

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島崎藤村

【夜明け前 第一部下】

「そりゃ、尊王攘夷の大争いにだって、利害関係はついて回る。横浜開港以来の影響はだれだって考えて来たことですからね。でも、尊攘と言えば、一種の宗教運動に似たもので、成敗利害の外にある心持ちから動いて来たものじゃありますまいか。」

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中里介山

【大菩薩峠 黒業白業の巻】

 二人の浪士は、事を好んでこの騒動を見たいのみでなく、騒動の中に何か自分に利害関係のある人がいて、その身の上が心配でたまらないらしくあります。
 この時に宇治山田の米友は、路次の軒の下へ蹲(うずくま)って、梯子(はしご)を組立ててしまいました。

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夢野久作

【街頭から見た新東京の裏面】

何だか弱者の肩を持ちたがる江戸ッ子カブレしたようであるが、決してそうでない。何等の利害関係なしに見ていると、東京市の腐敗荒廃を救い得る唯一の道は、このお坊ちゃんと腰弁の言葉に含まれているのである。

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Last updated : 2022/11/23