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竜頭蛇尾/龍頭蛇尾
りゅうとうだび
作家
作品

太宰治

【狂言の神】

案ずるに、かれはこの数行の文章をかれ自身の履歴書の下書として書きはじめ、一、二行を書いているうちに、はや、かれの生涯の悪癖、含羞(がんしゅう)の火煙が、浅間山のそれのように突如、天をも焦(こ)がさむ勢にて噴出し、ために、「なあんてね」の韜晦(とうかい)の一語がひょいと顔を出さなければならぬ事態に立ちいたり、かれ日頃ご自慢の竜頭蛇尾の形に歪(ゆが)めて置いて筆を投げた、というようなふうである。

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森鴎外

【独身】

とうとうその下女を妻にして、今でもそのままになっている。今は東京で立派にしているのだが、なんにしろ教育の無い女の事だから、宮沢は何かに附けて困っているよ。」
 富田は意地きたなげに、酒をちびちび飲みながら冷かした。「もうおしまいか。竜頭蛇尾だね。そんな話なら、誉めなけりゃあ好かった。」

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織田作之助

【猿飛佐助】

 そして四度目は想い出すさえ生々しい。即ち昨日の山賊退治の拙い一幕だ。だんまりで演れば丁々発止の竜闘虎争[#「竜闘虎争」は底本では「龍闘虎争」]の息使いも渋い写実で凄かったろうに、下手に鳴り物沢山入れて、野暮な駄洒落の啖呵に[#「啖呵に」は底本では「痰呵に」]風流を気取ったばかしに、竜頭蛇尾[#「竜頭蛇尾」は底本では「龍頭蛇尾」]に終ってしまったとは、いかにもオッチョコチョイめいて、思えばはしたない。

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清水紫琴

【移民学園】

やうやく政党内閣といつたところで幼稚なもの、まだ二回目の最初一度は竜頭蛇尾、藩閥に回収された跡引受け。誰も初役の、勝手は分らず、議論は多し。まだなかなか国利民福を増進するの機関として、遺憾なき活動を見るまでに至らぬは、知れ切つた事なれど。

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坂口安吾

【いづこへ】

「この人は私の亭主だい。私の亭主をどうするのさ」
 私はこの言葉は気に入つた。然し女は吠えるやうに泣きじやくつてゐるので、スタンドの卓を飛び降りた疾風のやうな鋭さも竜頭蛇尾であつた。刑事はいくらか呆気にとられたが女の泣き方がだらしがないので、ひるまなかつた。
「この人は本当にこの女の人の旦那さんです」

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福田英子

【妾の半生涯】

妾(しょう)をして常にこの心を失わざらしめば、不束(ふつつか)ながらも大きなる過失は、なかりしならんに、志(こころざし)薄く行い弱くして、竜頭蛇尾(りゅうとうだび)に終りたること、わが身ながら腑甲斐(ふがい)なくて、口惜(くちお)しさの限り知られず。

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宮本百合子

【獄中への手紙 一九三八年(昭和十三年)】

 いろいろとお喋りしたかったのだけれども、今夜はそんな元気がないから、又。
 屋外燈管制が今夕からはじまって、電車は、ものの読めない暗さで走っているそうです。竜頭蛇尾ということには謂わば芸術的に云ってさえ美がない。だから全く全く恐れ入って小さくなっている。

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夏目漱石

【吾輩は猫である】

やがて「船頭は無理でしたか」と御世辞のないところを打ち明ける。東風子は別段癪に障った様子もない。やはり沈着な口調で「その船頭でせっかくの催しも竜頭蛇尾(りゅうとうだび)に終りました。実は会場の隣りに女学生が四五人下宿していましてね、それがどうして聞いたものか、その日は朗読会があるという事を、どこかで探知して会場の窓下へ来て傍聴していたものと見えます。

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穂積陳重

【法窓夜話】

起し得て妙なりと手を拍って自ら喜び、更に二の句を次ごうと試みたが、どうしても出ない。出ないはずである。起句が余りに荘厳であるから、如何なる名句をもってこれに次ぐも、到底竜頭蛇尾たるを免れないのである。千思万考、推敲すいこう百遍、ついに一辞をも見出す能わずしてその筆を投じてしまった。

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Last updated : 2022/11/23