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▼参考書
妻子眷属
さいしけんぞく
作家
作品

三遊亭圓朝
鈴木行三校訂・編纂

【菊模様皿山奇談】

僧「いや/\世間は無常のもので、実に夢幻泡沫で実(じつ)なきものと云って、実は真(まこと)に無いものじゃ、世の人は此の理(り)を識(し)らんによって諸々(もろ/\)の貪慾執心(どんよくしゅうしん)が深くなって名聞利養(みょうもんりよう)に心を焦(いら)って貪(むさぼ)らんとする、是らは只今生(こんじょう)の事のみを慮(おもんぱか)り、旦暮(あけくれ)に妻子眷属(さいしけんぞく)衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、

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泉鏡花

【春昼】

 利のつく金子(かね)を借りて山を買う、木を伐(き)りかけ、資本(もとで)に支(つか)える。ここで材木を抵当(ていとう)にして、また借りる。すぐに利がつく、また伐りかかる、資本(もとで)に支(つか)える、また借りる、利でござろう。借りた方は精々(せっせっ)と樹(き)を伐(き)り出して、貸元(かしもと)の店へ材木を並べるばかり。追っかけられて見切って売るのを、安く買い込んでまた儲(もう)ける。行ったり、来たり、家の前を通るものが、金子(かね)を置いては失せるのであります。
 妻子眷属(さいしけんぞく)、一時(いっとき)にどしどしと殖(ふ)えて、人は唯(ただ)、天狗(てんぐ)が山を飲むような、と舌を巻いたでありまするが、蔭(かげ)じゃ――その――鍬(くわ)を杖(つえ)で胴震(どうぶる)いの一件をな、はははは、こちとら、その、も一ツの甕(かめ)の朱(しゅ)の方だって、手を押(おッ)つけりゃ血になるだ、なぞと、ひそひそ話(ばなし)を遣(や)るのでござって、」

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木下尚江

【臨終の田中正造】

此に於て一件全く落着を告げたるが、此事件の起りてより前後五年の久しきに亙り、村々名主等苟も此事件に関係あるもの、其間の運動費に巨額の金銭を投じたれば、落着後或は田畑を売り或は家屋敷を売り、妻子眷属また為めに離散するの惨状を見るに至れり。

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中里介山

【法然行伝】

「さあ皆の者、今日の往生は少し延期だ、来(きた)る九月四日には必ず往生をして見せるから、その日になってやっておいで」
 見物の者呆(あき)れて、あざけりながら帰って行く。妻子眷属は世間へ対して面目ないことだと、歎いたが、当人は一向平気で、
「なあに、阿弥陀如来のお告げで、延ばしたのだ。自分の了見ではない。九月には間違いないよ」

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Last updated : 2025/12/26