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▼参考書
三面六臂
さんめんろっぴ
一人で数人分の働きをし、多方面に目ざましい手腕を発揮すること。
⇒ 三面六臂 ⇒ 八面六臂
作家
作品

芥川龍之介

【地獄変】

「私は鉄(くろがね)の鎖(くさり)に縛(いましめ)られたものを見た事がございまする。怪鳥に悩まされるものゝ姿も、具(つぶさ)に写しとりました。されば罪人の呵責(かしやく)に苦しむ様も知らぬと申されませぬ。又獄卒は――」と云つて、良秀は気味の悪い苦笑を洩しながら、「又獄卒は、夢現(ゆめうつゝ)に何度となく、私の眼に映りました。或は牛頭(ごづ)、或は馬頭(めづ)、或は三面六臂(さんめんろつぴ)の鬼の形が、音のせぬ手を拍き、声の出ぬ口を開いて、私を虐(さいな)みに参りますのは、殆ど毎日毎夜のことと申してもよろしうございませう。――私の描かうとして描けぬのは、そのやうなものではございませぬ。」

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田中貢太郎

【竈の中の顔】

「首がございます、生首(なまくび)が」
「そうか」
 三左衛門は起(た)って往った。怪しい黒ずんだ風変りな仏像の前に、前方向(むこうむ)きにした男髷(おとこまげ)の首が据(す)えてあった。
「よし、その包みを持って来い」
 三左衛門は若党の手から紙包を執(と)って、それを仏像と首との間に置いた。仏像は眼のぎらぎら光る三面六臂(さんめんろっぴ)の奇怪なものであった。

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中里介山

【大菩薩峠 椰子林の巻】

この娘は山方でも、家柄のいいところへ生れたのですが、労働を厭(いと)わないのみならず、労働に慣れておりましたから、ほんとうにここでは三面六臂(さんめんろっぴ)の働きをします。口数が少なくて、働くことは三人前もしますから、この点に於ても申し分はありません。

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Last updated : 2025/12/26