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▼参考書
三千世界
さんぜんせかい
作家
作品

芥川龍之介

【邪宗門】

「まあ、気味の悪い事を仰有(おっしゃ)います。」
 御姫様は元より、二人の女房も、一度にこう云って、襲(かさね)の袖を合せましたが、若殿様は、愈御酒(いよいよごしゅ)機嫌の御顔を御和(おやわら)げになって、
「三千世界は元より広大無辺じゃ。僅ばかりの人間の 智慧(ちえ)で、ないと申される事は一つもない。

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高神覚昇

【般若心経講義】

ちょうど、子を持って、はじめて子を持つことの悩み、 欣(よろこ)びがわかるように、私どもは子をもって、親の恩を知ると同時に、子の恩をも知ることができるのです。三千世界に子ほどかわいいものがないということを知らしてくれたのは、全く子の恩です。自己を忘れて子供をかわいがる。その無我の心持、利他の喜びを、教えてくれたのは、ほんとうに子供のおかげです。全くうき世のこと、すべて唯証相応です。

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野口雨情

【おさんだいしよさま】

三千世界


広いこの世は
三千世界
親のない子は
皆おいで

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竹久夢二

【桜さく島 見知らぬ世界】

阿波鳴門順礼歌(あはのなるとじゅんれいうた)


ふる里(さと)をはる/″\
こヽに紀三井寺(きみいでら)
花(はな)の都(みやこ)も近(ちか)くなるらん
「お鶴(つる)は死(しな)ないんですねえ、母様(かあさま)」
「さいなあ、阿波(あは)の鳴門(なると)をこえて観音様(くわんのんさま)のお膝許(ひざもと)へいきやつたといのう」
「でも、お鶴(つる)はお祖母様(ばあさん)の手紙(てがみ)を母様(かあさま)にみせたの」
「さいなあ、お鶴(つる)の母御(はヽご)は、その手紙(てがみ)をお鶴(つる)の懐(ふところ)からとりだして読(よ)みながらよみながらお泣(なき)やつたといのう」
「母様(かあさま)、お鶴(つる)は死(し)んだの」
「なんの、死(し)ぬものぞいの。お鶴(つる)は観音様(くわんのんさま)のお膝許(ひざもと)へいつたのやがな」
「母様(かあさま)、お鶴(つる)はなんて言(い)つて歌(うた)つたの」
賽(さい)の河原(かはら)で砂手本(すなてほん)
一ツつんでは母(はヽ)のため
二ツつんでは父(ちヽ)のため
三千世界(さんぜんせかい)の親(おや)と子(こ)が
死出(しで)の旅路(たびぢ)をふだらくや
あすの夜(よ)たれか添乳(そへぢ)せん
「か……母様(かあさま)」
「なあに」
「お……お鶴(つる)は死(しな)ないんですねえ」

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北村透谷

【他界に対する観念】

詩の世界は人間界の実象のみの占領すべきものにあらず、昼を前にし夜を後にし、天を上にし地を下にする無辺無量無方の娑婆(しやば)は、即ち詩の世界なり、その中に遍満するものを日月星辰の見るべきものゝみにあらずとするは、自然の憶度(おくど)なり。生死は人の疑ふところ、霊魂は人の惑ふところ、この疑惑を以て三千世界に対する憶度に加ふれば、自からにして他界を観念せずんばあらず。地獄を説き天堂を談ずるは、小乗的宗教家の 癡夢(ちむ)とのみ思ふなかれ、詩想の上に於て地獄と天堂に対する観念ほど緊要なるものはあらざるなり。

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長谷川時雨

【尼たちへの消息 ――よく生きよとの――】

十字(蒸餅(むしもち))五十まい、くしがき一れん、あめをけ(飴桶(あめをけ))一、送給畢(おくりたびをはんぬ)。御心ざしさきざきかきつくして、筆もつひゆびもたたぬ。三千世界に七 日(か)ふる雨のかずはかずへつくしてん。十萬世界の大地のちりは知人(しるひと)もありなん。法華經(ほけきやう)一字(じ)供養の功徳(くどく)は知(しり)がたしとこそ佛(ほとけ)はとかせ給て候(さふら)へ、此(これ)をもて御心あるべし。

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中里介山

【大菩薩峠 新月の巻】

 和泉屋の福松は、がんりきと言い出してまた躍起となり、
「ほんとに、いやな奴たらありゃしない、三千世界の色男の元締はこちらでございってな 面(かお)をして、手んぼうのくせに見るもの聞くものにちょっかいを出したがるんだから、始末が悪いことこの上なし、そうして、御当人のおのろけによると、そのちょっかいというちょっかいが、十のものが十までものになるんだそうだから、やりきれない、キザな奴、イヤな奴――」

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泉鏡花

【悪獣篇】

 皺手(しわで)に呼吸(いき)をハッとかけ、斜めに丁(ちょう)と鑿を押えて、目一杯に海を望み、
「三千世界じゃ、何でも居ようさ。」
「どこに、あの、どこに居ますのでございますえ。」
「それそれそこに、それ、主たちの廻りによ。」

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三遊亭圓朝
鈴木行三校訂編纂

【根岸お行の松 因果塚の由来】

 若「お前さんでも貞婦(ていふ)両夫に見(まみ)えずということがあるは知ってるでしょう、私だって左様(そう)だわ、一旦伊之さんとあんな交情(なか)になったんだもの、世間の義理で切れましょうと云ったって、心(しん)から底から切れるなんかッてえ気は微塵もありゃアしないのさ、ひょんなことがあったからね、これでは伊之さんに邂逅(めぐりあ)っても愛想をつかされるだろうと悲しく思ってるを、伯父さんは些(ちっ)とも察してくれず、お嫁にゆけのなんのというじゃないか、私の良人(おっと)は三千世界に伊之さんより外にないんだものお前、 仮令(たとえ)嫌われたって愛想をつかされたって、二人の良人は持ちますまいと心に定めてこんな姿になってるんだからね」

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三好十郎

【浮標】

美緒 ……頼むわ、……小母さん……私が……居なくなつたら……五郎のこと……(小母さんに向つて両手を合せる)
小母 (まだまちがつて受取つてゐる)ハツハハハ、さうどす! 拝みなはれ、拝みなはれ、あんな良いお婿はんは三千世界捜しても居やはらへん!
美緒 いえ、あのね……(とまだ何か言はうとするが、数語を言つたためにガツクリしたのと、自分の声ではどんなに小母さんの耳の傍で言つても、到底きこえさうにないために、話すのをよしてしまひ、涙ぐんで、うなづいて見せる)……(しかし又、フト思い附いて、小母さんの片手を取つて、その手の平に指で仮名を書きはじめる)……。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

Last updated : 2025/12/26