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▼参考書
千軍万馬
せんぐんばんば
作家
作品

幸田露伴

【蒲生氏郷】

金七が 還(かえ)っての報告によると、猿面冠者の北条攻めの有様は尋常一様、武勇一点張りのものでは無い、其大軍といい、一般方針といい、それから又千軍万馬往来の諸雄将の勇威と云い、大剛の士、覚えの兵等の猛勇で功者な事と云い、北条方にも勇士猛卒十八万余を蓄わえて居るとは云え、到底関白を敵として勝味は無い。

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太宰治

【家庭の幸福】

「かいとうとは、怪しい刀(かたな)と書くんだろう?」
 と彼はやはり苦笑しながら言って、でも内心は、まんざらでない。
「冗談じゃない。どだい、あんな質問者とは、頭の構造がちがいますよ。何せ、こっちは千軍万馬の、……」
 すこしお世辞が過ぎたのに気づいて下僚は素早く話頭を転ずる。

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坂口安吾

【決戦川中島 上杉謙信の巻 ――越後守安吾将軍の奮戦記――】

 放善坊は舌なめずりしながらシャニムニ余を旅館へ引きあげたが、さすがにいささか気が咎めてか、筆紙を取りよせて一句示した。

  身は童貞にして清風あふれ
  千軍万馬退くを知らず

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幸田露伴

【運命】

此(この)勢(いきおい)に乗ぜよやと、張玉、朱能等、いずれも塞北(さいほく)に転戦して元兵(げんぺい)と相(あい)馳駆(ちく)し、千軍万馬の間に老い来(きた)れる者なれば、兵を率いて夜に乗じて突いて出で、黎明(れいめい)に至るまでに九つの門の其八を奪い、たゞ一つ下らざりし西直門(せいちょくもん)をも、好言を以て守者を散ぜしめぬ。

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柴田流星

【残されたる江戸】

「あいや才助ェ、そちゃこの直高を愚昧と思うか、やさ、盲目と見たかァ……千軍万馬の中往来なし、刀傷か槍傷かァ、それ見わけのつかぬ直高と思うやッ!」……と、まで来ればお二階の旦那なるもの御贔負様を一つ何々と御意遊ばさぬことはない。よし旦那にして御意遊ばさぬとしてからが、ねえ貴方や! と、おねだりの出るのは定で、いずれにしてもその続きか然らずは音羽屋の弁天小僧、成田屋の地震加藤なんど、どのみち一つ二つの仰せは承わられる。

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夢野久作

【鼻の表現】

 戦場場数(ばかず)の豪の者、千軍万馬を往来した驍将(ぎょうしょう)の鼻には、どことなく荒涼凄惨たる戦場の殺気を彷彿せしむべき或るものがあります。

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林不忘

【丹下左膳 こけ猿の巻】

 刀で殺さずに、色で殺そうというのでしょう。
 剣にはどんなに強い男でも、媚びには弱いものです。
 イヤ、男を相手にして強い男に限って、女には手もなくもろいのがつねだ。
 千軍万馬のお蓮様、そこらの呼吸(こきゅう)をよっく心得ている。

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海野十三

【独本土上陸作戦 ――金博士シリーズ・3――】

 千軍万馬(せんぐんばんば)の将軍も、これには胆(きも)を潰(つぶ)し、博士の一本脚――ではない実は超長靴を、絨毯(じゅうたん)の上に放り出した。

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小熊秀雄

【小熊秀雄全集-6 詩集(5)飛ぶ橇】

この戦ひに誰が一番勇気があつて
首を沢山獲つてきたか、
栗毛の馬の持主か、
緋縅の鎧か
千軍万馬の戦功者
クロガネ五郎兵衛久春殿か、
いやいや彼は今度の戦ひでは
順調にいかなかつた、

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牧逸馬

【戦雲を駆る女怪】

書類の埋高(うずたか)く積まれた大机のむこうに、鋭い青銅色の眼をした老紳士が控えている。背広を着ているが、千軍万馬(せんぐんばんば)の軍人らしい風格、これが有名な「第二号の人」だった。

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吉川英治

【三国志 臣道の巻】

李典(りてん)、楽進(がくしん)の輩(ともがら)は勇においてすぐれ、その勇や万夫不当(ばんぷふとう)、みな千軍万馬往来の士である。なお見よ。左列の 于禁(うきん)、徐晃(じょこう)のふたりは、古(いにしえ)の岑彰(しんほう)、馬武(ばぶ)にも勝る器量をそなえ、夏侯惇(かこうじゅん)は、軍中の第一奇才たり。

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Last updated : 2025/12/26