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▼参考書
殊域同嗜
しゅいきどうし
作家
作品

森鴎外

【渋江抽斎】

或(あ)る時ドイツのバルテルスの『文学史』の序を読むと、バルテルスが多く書を読もうとして、廉価の本を渉猟(しょうりょう)し、『文学史』に引用した諸家の書も、大抵レクラム版の書に過ぎないといってあった。わたくしはこれを読んで私(ひそ)かに 殊域同嗜(しゅいきどうし)の人を獲(え)たと思った。それゆえわたくしは漢籍においても宋槧本(そうざんほん)とか元槧本(げんざんほん)とかいうものを顧みない。『経籍訪古志』は余りわたくしの用に立たない。わたくしはその著者が渋江と森とであったことをも忘れていたのである。

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Last updated : 2025/12/26