蹌蹌踉踉/蹌々踉々
そうそうろうろう
よろよろと歩くさま、足取りが不安定なさま
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作家
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作品
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夏目漱石
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【
虞美人草
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小野さんは
蹌々踉々として来た。ただ蹌々踉々の意味を説明しがたいのが残念である。
「どうか、なすったの」と藤尾が聞いた。小野さんは心配の上に被せる従容の紋付を、まだ誂えていない。二十世紀の人は皆この紋付を二三着ずつ用意すべしと先の哲学者が述べた事がある。
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夏目漱石
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【
吾輩は猫である
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とにかくあの婦人が急にそんな病気になった事を考えると、実に飛花落葉の感慨で胸が一杯になって、総身の活気が一度にストライキを起したように元気がにわかに滅入ってしまいまして、ただ蹌々として踉々という形ちで吾妻橋へきかかったのです。
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田山花袋
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【
秋の岐蘇路
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これより須原驛に至る間、わが興はいかに揚り、わが吟懷はいかに振ひ、わが胸はいかにさま/″\なる空想を以て滿されたりけむ。われは銀の如く美しき月光に浴しつゝ、蹌々踉々として大聲唐詩を高吟し、路傍の人家を驚かしたるを今猶記憶す。酒を路傍の村舍に求め、一歩に一飮、一歩に一吟、われは全く人生の覊絆を脱却して、飄々天上の人とならんとするが如くなるを覺えき。
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長谷川時雨
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【
マダム貞奴
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開演しさえすればとの儚ないたのみに無理算段を重ねていた一行は、直に糊口にも差支えるようになり、ホテルからも追出されるみじめさ、行きどころない身は公園のベンチに眠り、さまよい、病犬のように蹌々踉々として、僅かの買喰いに餓をしのぐよりせんすべなく、血を絞る苦しみを忍んで、漸くボストンのカリホルニア座に開演して見たものの、
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中里介山
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【
大菩薩峠 白骨の巻
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まさか、四人が四人、枕を並べて、屍を草深いところに横たえてもいまい。
では、逃げたか――或いはまた勝って再び立場の五条源治へ引上げ、そこで祝杯を挙げてでもいるのか。
ともかくも、荒野にただ一人、机竜之助の姿は、蹌々踉々として歩み且つ止まり、この世の人が、この世の道をたどるとは思えない足どりで、それでも迷わんとして迷わず、さして行くところは、いのじヶ原の一軒家。
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葉山嘉樹
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【
労働者の居ない船
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こんな風だったから、瀬戸内海などを航行する時、後ろから追い抜こうとする旅客船や、前方から来る汽船や、帆船など、第三金時丸を見ると、厄病神にでも出会ったように、慄え上ってしまった。 彼女は全く酔っ払いだった。彼女の、コムパスは酔眼朦朧たるものであり、彼女の足は蹌々踉々として、天下の大道を横行闊歩したのだ。 ; 素面の者は、質の悪い酔っ払いには相手になっていられない。皆が除けて通るのであった。
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夢野久作
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【
近世快人伝
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見ると、誰が暴れたのかわからないが昨夜の大きな酒樽が引っくり返って、栓が抜けている横に、汁椀が踏潰されている。通夜の連中に飲ましてやるつもりで、残しておいた酒は一滴も残らず破れ畳が吸い込んで、そこいら一面、真赤になって酔払っている。
その樽と、枕を左右に蹴飛ばした奈良原翁は、
蹌々踉々s
として昨日の医者の玄関に立った。診察中の医者の首筋を、例の剛力でギューと掴んで大喝した。
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Last updated : 2025/12/29