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断簡零墨
だんかんれいぼく
作家
作品

芥川龍之介

【澄江堂雑記】

 この頃エジプトの砂の中から、ヘラクレニウムの熔岩の中から、希臘ギリシヤ人の書いたものが発見される。時代は 350 B.C. から 150 B.C. 位のものらしい。つまりアテネ時代からロオマ時代へ移らうとする中間の時代のものである。種類は論文、詩、喜劇、演説の草稿、手紙――まだほかにもあるかも知れない。作者は従来書いたものの少しは知られてゐた人もある。名前だけやつと伝つてゐた人もある。勿論もちろん全然名前さへ伝はつてゐなかつた人もある。
 しかしそれはかくも、さういふ断簡零墨だんかんれいぼくを近代語に訳したものを見ると、どれもこれも我我にはお馴染なじみの思想ばかりである。

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菊池寛

【芥川の事ども】

 芥川が、「文藝春秋」に尽してくれた好意は感謝のほかはない。その好意に報いるため、また永久にこの人を記念したいから、「侏儒の言葉」欄は、死後も本誌のつづく限り、存続させたいと思う。未発表の断簡零墨もあるようだし、書簡などもあるから、当分は材料に窮しないし、材料がなくなれば彼に関するあらゆる文章をのせてもいいと思う。

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津田左右吉

【史論の流行】

ここにおいて議するものあり曰く国家の俸禄をむ史家は誤謬の索捜を勉めて国史の美観を損ずと。曰く国庫の資を以て蒐集したる断簡零墨を憑拠としてみだりに賢相名臣の跡を抹殺すと。また曰く考証学の結果にして此の如くんば則ちこれ風教に害ありと。しかして或るものは更に一歩を進めて国体の尊厳に関すと叫ぶ。
 嗚呼ああ世人史を見ること真に此の如きか。在来国史の謬伝訛説多きは既に論ぜし所、少しく眼を史籍に注ぐものは何人も之を拒む能はざるの事実たり。国史の学は国民の過去に経過し来れる事蹟の実相を究明するのいいなり。而もそのいはゆる事実にして果して真実ならずとせんかこれただ空中の殿堂、咸陽の宮楼に非ざるも史家は之を一炬に附するを惜まざるなり。すなはち更に荘厳の宮殿を建築せんとす。必ず先づその基礎をして正確ならしめざるべからず。事実の考証はこれ史学の根底なりとす。有を有とし無を無とすまことにこれ当然の理何人が之を拒むものぞ。ただそれ有の果して無たらず無の果して有たらざるか否かはこれ史家の識見とその方法との如何に関するのみ。曰ふ断簡零墨以て国史を疑ふべからずと。断簡零墨尽く以て信ずるに足るとせず。

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中里介山

【大菩薩峠 白雲の巻】

「それは、いささか割引がかんじんじゃ、大諸侯の物とて、一から十まで盲信するわけにはゆかん。いったい、羲之の真蹟はすべて唐の太宗たいそうが棺の中まで持ちこんで行ってしまったはずで、支那にも、もはや断簡零墨だんかんれいぼくもござらぬそうな」
「ところが、伊達家の羲之には、れっきとした由緒因縁がある、しかも、それには唐の太宗の御筆の序文までがついているそうじゃ」

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吉川英治

【随筆 宮本武蔵】

 だが、僕はそのまま引き退がるつもりではなかった。宿題として、自分に答えうる準備ができたらお目にかけるつもりだった。以来忘れたことはない。事武蔵に関する限りどんなくだらない物でも、断簡零墨だんかんれいぼく、心にとめて五回や十回の応戦には尽きないだけの論駁ろんばくを持とうと願っていたのである。ところが、先へ死んでしまった。

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Last updated : 2022/11/23