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▼参考書
秩序整然
ちつじょせいぜん
作家
作品

太宰治

【 創生記 】

 カツテ私(ワタシ)ハ、愛(アイ)ノ哲人(テツジン)、ヘエゲルノ子(コ)デアッタ。哲学(テツガク)ハ、知(チ)ヘノ愛(アイ)デハナクテ、真実(シンジツ)ノ知(チ)トシテ成立(セイリツ)セシムベキ様(サマ)ノ体系知(タイケイチ)デアル、ヘエゲル先生(センセイ)ノコノ言葉(コトバ)、一学兄(イチガッケイ)ニ教(オシ)エラレタ。的(マト)言(イ)イアテルヨリハ、ワガ思念開陳(シネンカイチン)ノ体系(タイケイ)、筋(スジ)ミチ立(タ)チテ在(ア)リ、アラワナル矛盾(ムジュン)モナシ、一応(イチオウ)ノ首肯(シュコウ)ニ価(アタイ)スレバ、我事(ワガコト)オワレリ、白扇(ハクセン)サットヒライテ、スネノ蚊(カ)、追(オ)イ払(ハラ)ウ。「ナルホド、ソレモ一理窟(ヒトリクツ)。」日本(ニッポン)、古来(コライ)ノコノ日常語(ニチジョウゴ)ガ、スベテヲ語(カタ)リツクシテイル。首尾(シュビ)ノ一貫(イッカン)、 秩序整然(チツジョセイゼン)。ケサノコノ走(ハシ)リ書(ガキ)モマタ、純粋(ジュンスイ)ノ主観的(シュカンテキ)表白(ヒョウハク)ニアラザルコトハ、皆様(ミナサマ)承知(ショウチ)。プンクト、ナドノ君(キミ)ノ気持(キモ)チト思(オモ)イ合(アワ)セヨ。急(キュウ)ニ書(カ)キタクナクナッタ。

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三木清

【 哲學はやさしくできないか 】

 またよく云はれるのは、今の日本の哲學のむつかしいのはドイツ哲學の影響によるといふことである。これは一理あることであらう。フランスやイギリスの哲學はドイツのものに比してわかり易いやうに見える。しかしこれは本質問題とは無關係である。わかつたやうに思はれても、ほんたうにわかつてゐるのでないことは、例へば、さういふフランス流の哲學を自分でやつてみようとしても、なかなかできないといふことでも知られよう。それには性格と才能とが要る。然るにそのやうな性格や才能は、實際はドイツ流の哲學においても必要なのである。ドイツの哲學は概念的で、秩序整然たるものがあり、教科書として便利であり、それをつなぎ合はすれば何か論文らしいものができる。

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高楠順次郎

【 東洋文化史における仏教の地位 】

 それは寺院の門末関係である。各宗派とも門末関係が出来て、それが秩序整然たる特殊の組織として残っている。これは朝鮮に行ってもないし、シナに行ってもないし、インドに行っても尚更ない。どの国に行っても日本のように徹底的な組織はない。これは日本の家族制度の組織がかくはっきりならしめた所以であります。その中で一層堅固に世襲で行くというような宗派もある。寺院組織を潰さないようにするのはわれわれの目前の要件であると思う。

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中里介山

【 大菩薩峠 みちりやの巻 】

 今日は、あれとこれを調合し、主客の味覚をいちいち参考とし、明日に持越さないだけの配分を見つもり、その秩序整然たる晩餐の準備が、眠れる眼の前で、無残にも蹂躙(じゅうりん)され、顛覆(てんぷく)されている。それを、全然知らない金椎もまた悲惨であるが、飢えのために、この料理王国のあらゆる秩序を蹂躙し、顛覆せねばならぬ運命に置かれた闖入者の身もまた、悲惨といわねばならぬ。

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Last updated : 2025/12/26