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野卑滑稽
やひこっけい
作家
作品

中島敦

【李陵】

 司馬遷しばせんりょうのために弁じて罪をえたことを伝える者があった。李陵は別にありがたいとも気の毒だとも思わなかった。司馬遷とは互いに顔は知っているし挨拶あいさつをしたことはあっても、特に交を結んだというほどの間柄ではなかった。むしろ、いやに議論ばかりしてうるさいやつだくらいにしか感じていなかったのである。それに現在の李陵は、他人の不幸を実感するには、あまりに自分一個の苦しみとたたかうのに懸命であった。よけいな世話とまでは感じなかったにしても、特に済まないと感じることがなかったのは事実である。

 初め一概に 野卑滑稽こっけいとしかうつらなかった胡地こちの風俗が、しかし、その地の実際の風土・気候等を背景として考えてみるとけっして野卑でも不合理でもないことが、しだいに李陵にのみこめてきた。厚い皮革製の胡服こふくでなければ朔北さくほくの冬はしのげないし、肉食でなければ胡地の寒冷にえるだけの精力をたくわえることができない。固定した家屋を築かないのも彼らの生活形態から来た必然で、頭から低級とけなし去るのは当たらない。漢人のふうをあくまでたもとうとするなら、胡地の自然の中での生活は一日といえども続けられないのである。

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Last updated : 2022/11/23