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▼参考書
沃野千里
よくやせんり
作家
作品

夏目漱石

【満韓ところどころ】

橋本も余も面白半分少し探して見たが、全く駄目であった。山を下(くだ)るとき、おい満洲を汽車で通ると、はなはだ不毛(ふもう)の地のようであるが、こうして高い所に登って見ると、 沃野 ( よくや ) 千里という感があるねと、橋本に話しかけたが、橋本にはそんな感がなかったと見えて、別に要領の好い返事をしなかった。余の沃野千里は全く色から割り出した感じであった。松山の上から見渡すと、高い日に映る、茶色や黄色が、 縞(しま)になったり、段になったり、模様になったり、霞(かすみ)で薄くされて、雲に接(つづ)くまで、一面に平野を蔽(おお)うている。満洲は大きな所であった。

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Last updated : 2025/12/26