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剖析細究
ぼうせきさいきゅう
作家
作品

内田魯庵

【二葉亭四迷の一生】

 三山は墓標に揮毫きごうするにあたって幾度も筆を措いて躊躇ちゅうちょした。この二葉亭四迷は故人の最も憎める名であった。この名を墓標に勒するは故人の本意でないかも知れぬので、三山は筆を持って暫らく沈吟ちんぎんしたが、シカモこの名は日本の文学史に永久に朽ちざる輝きである。二葉亭は果して自ら任ずる如き実行の経綸家であった乎否かは永久のなぞとしても、自らいさぎよしとしない文学を以てすらもなおかつかくの如く永久朽ちざる事業を残したというは一層故人の材幹と功績の偉なるを伝うるに足るだろう。と、三山は終に意を決して二葉亭四迷と勒した。
 以上はただ一生の輪廓を描いたに過ぎないが、人物と思想とは特に剖析細究しないでもほぼ知る事が出来よう。文人としての二葉亭の位置の如何なるやは暫らく世間の判断に任すとしても明治の文壇に類の少ない飛離れた人物であったはこの白描のデッサンを見てもおおよそ 推測おしはかられよう。文人乎、非文人乎、英雄乎、俗人乎、二葉亭は終にその全人格をひとにも自分にも明白に示さないで、あたかも彗星の如く不思議の光芒こうぼうを残しつつ倏忽しゅっこつとして去ってしまった。かれは小説家でなかったかも知れないが、渠れ自身の一生は実に小説であった。

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Last updated : 2022/11/23