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暴飲暴食
ぼういんぼうしょく
作家
作品

木下尚江

【臨終の田中正造】

 我れ水火を識別するに及で、父母我が飲食を斟酌す。此頃になりては、父母また神の如くならず。我亦た食慾を覚ゆ。
  我やゝ長ずるに及で我が飲食を制す。我れ壮年に及で父母の制裁に安んぜず。或は暴飲暴食、時に病を受く。此時に当り、身を破り人道に反き、多く罪悪に陥る。陥りて後ち悔ゆ。其悔や厚く而も改むるに至らず。後ち大に悔いて大に改むるも、年已に遅し。

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田中英光

【さようなら】

この間の父の、ぼくへの愛情はいま思い出しても狂的爆発的だった。毎日、役所の帰りには実物大の子馬の玩具とか電気機関車のような高価な土産をぼくの望むまま買ってきてくれる、一度は、一生にたった一遍の出来事だったが、父はぼくを連れ、日本橋の三越にいったものだ。普通でさえ腸が弱く、それだけ食いしん坊のぼくが、甘え放題に暴飲暴食させて貰ったから堪らない。ぼくは漱石みたいに髭を生した怖い顔の父に肩車で乗っていて、したたか父に黄金の臭い雨を浴せかけた。父は怒らず、そんなぼくを便所に連れてゆき、お尻をきれいにしてくれたが、ぼくはその時、父の瞳が潤んでいたのを見逃がさず、流石(さすが)になんとも遣切れぬ気持だった

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2022/11/23