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喧喧囂囂/喧々囂々
けんけんごうごう
作家
作品

横光利一

厨房ちゅうぼう日記】

 フランスの全罷業が大波を打ち上げてようやく鎮まりかかったとき、スペインの動乱が火蓋ひぶたを切った。梶はヨーロッパが左右両翼に分れて 喧喧囂囂けんけんごうごうとしている中を無雑作にシベリアを突っ走り、日本へ帰るとすぐ東北地方へ引き込んだ。彼は妻の父と母とに「ただ今帰りました」とお辞儀をしてから早速仏壇の前へいって黙礼した。

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野上豊一郎

【闘牛】

 オルテガが代って現れた。しかし、彼はいきなり刺そうとしないで、赤い旗を振ってからかいにかかった。日本風の武士道の気持から判断すると、戦友の弔い合戦をするようなものだから、すぐ仕止めた方がよさそうに思えるが、彼はいつまでも自分の技術をひけらかして牛をあしらってるので、殊にベルモンテびいきのファンは虫が収らないと見え、しきりに半畳を入れる者がある。オーチョー・パララ・レンチャ……と方々から叫び声が投げられる。遂に突き刺したが、剣は半分きり刺さらなかった。二度目の十字剣でやっと仕込めた。
 喧喧囂囂のうちに場は閉じられた。まさに六時が振り上げられた所だった。
 翌日の新聞で、小ベルモンテの傷は背後だったのでそれほどのことはなく、第二日目は木曜日に開場されると報告された。

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宇野浩二

【思い出すままに 「文藝春秋」と菊池と】

 さて、この時、私は、那須から諏訪の方へまわったので、原稿は書けなかったが、江口は、菊池の求めに応じて、すぐ原稿を書いて、菊池に送った。これが、「文藝春秋」の二月号に出た、『斬捨御免』である。これは、(江口の文章によると、)「当時の文壇の、大家、中堅、新進、のおよそ二十名ちかくを相手にして、悪罵のかぎりをつくした」もので、「喧喧囂囂たる物議」をかもしたもので、この文章のために、「文藝春秋」の、二月号が売りきれ、三月号も四月号も売りきれた、と云われている。

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高浜虚子

【発行所の庭木】

門前の小さい家に群生している子供等で、此子供等は傍若無人に大きな声をして往来に活動して居る。往来は異論の申し立てようもないが、我が発行所の門の所に四五人は愚か十人余りも佇んでいて、それが 喧々囂々けんけんごうごう として騒ぎ立てて居る。其中の三四人は並んで敷居に腰を掛けているので、内から表の戸を開けようとしても開かぬ事がある。

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太宰治

【禁酒の心】

夕陽をあかあかと浴びて、汗は滝の如く、ひげをはやした立派な男たちが、ビヤホオルの前に行儀よく列を作って、そうして時々、そっと伸びあがってビヤホオルの丸い窓から内部をのぞいて、首を振って溜息をついている。なかなか順番がまわって来ないものと見える。内部はまた、いもを洗うような混雑だ。ひじと肘とをぶっつけ合い、互いに隣りの客を牽制けんせいし、負けず劣らず大声を挙げて、おういビイルを早く、おういビエルなどと東北なまりの者もあり、 喧々囂々けんけんごうごう、やっと一ぱいのビイルにありつき、ほとんど無我夢中で飲みおわるや否や、ごめん、とも言わずに、次のお客の色黒く眼の光のただならぬのが自分を椅子から押しのけて割り込んで来るのである。

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岸田國士

【新劇界の分野】

 かくの如き戯曲界の現状に向って、誰がどういう批難を加えようと、その批難は常に真理を含んでいると見られる。そこで喧々囂々、甲は乙の傾向を罵り、乙は丙の色調を貶し、丙は又甲の主張を嘲るに日もこれ足らざる有様である。

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中里介山

【大菩薩峠 恐山の巻】

 田山白雲がよけいな心配までしてやっている時分に、法螺ほらの貝の手勢が、真黒くなって早くも右の小兵こひょうの長刀の男を取囲んでしまいました。本来、小さい身体なのですから、雑然たる多勢に取囲まれては、たちまち姿を呑まれてしまうのは是非もないことで、多勢の中に呑まれてしまうと、田山白雲としては、もはや遠眼鏡を以てしても、肉眼を以てしても、その男の姿を認めることはできなくなって、ただすさまじい 喧々囂々けんけんごうごうだけを耳にするばかりです。
「あぎゃん、こぎゃん、てんこちない、たんぼらめ!」

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宮本百合子

【人間の道義】

 浄らかな人間生活は、浄らかなり得る現実条件があり、或は少くともその可能が存在する社会事情がなければ営まれようもない。権力者らの、眼にあまる大きい堕落は、大きすぎて私たちに一目で見きわめかねるからとて、抵抗力ない女の罪を 喧々囂々けんけんごうごうすることで、自分を義人と感じるには、私たち女の経て来た苦労は厳粛すぎるのである。

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林不忘

【寛永相合傘】

 つぎつぎに持ち出される刀について、議論が沸騰する。こうした会は後年はものしずかなものになったが、この時代はどうしてどうして 喧々囂々けんけんごうごうたるさわぎだった。

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内田魯庵

【四十年前 ――新文学の曙光――】

 風説は風説を生じ、弁明は弁明を産み、数日間の新聞はこの噂の筆を絶たなかったが、いくばくもなく風説の女主人公たる貴夫人の夫君が一足飛びの栄職に就いたのがたもや疑問の種子となって、喧々囂々の批評が更に新らしく繰返された。

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坂口安吾

【孤独閑談】

酒席は忽ち白洲となり、罪人男女は案外冷静、突き刺すような鋭い視線で何かしらヂッと 凝視みつ めているばかりだが、棟梁一族のうるさいこと、あれを言い、これを言い、男を叩き切らんばかりの見幕で、喧々囂々、僕の俄か奉行では何が何やら一向に納りがつかぬ。大変な騒ぎのうちに、汽車の時間が来て、三宅君は慌てゝ停車場へ飛んで行った。僕は好漢の出征を見送ることすら出来ないという始末であった。

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海野十三

【独本土上陸作戦 ――金博士シリーズ・3――】

 ゴンゴラ総指揮官は、頬をトマトのようにあかくして、たくたたいた。
何人なんびとが何といおうと、独本土上陸作戦を決行する吾輩の決意には、最早変りはない。ドイツを屈服くっぷくせしめる途はただ一つ、それより外に残されていないのである」
 一座は、尚も 喧々囂々 けんけんごうごうおさまりがつかなくなった。あちこちで、同志討どうしうちまでが始まる。
「なにも、そんな危い芸当をやらないでも、もっと確実に、しかも安全にドイツをやっつける方法があるんだ」

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佐々木味津三

【右門捕物帖 献上博多人形】

 もとより直訴は天下のご法度はっと沸然ふつぜんとしてわきたったのは当然なことです。声が飛び、人が飛んで、訴人はたちまち近侍の者たちが高手小手。ご行列は乱れる、雪は散る、 喧々囂々 けんけんごうごうと騒ぎたてた群集をけちらして、表警備、忍び警備、隠れ警備の任についていた町方一統の面々が先を争いながら駆けつけると、われこそ宰相の御意にかなおうといわぬばかりに、ぐるぐると伊豆守のお身まわりに寄り添いながら、その下知を待ちうけました。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
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Last updated : 2022/11/23