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残忍酷薄
ざんにんこくはく
作家
作品

正岡子規

【病牀譫語】

貧家にありて一枚の衣服を濡らしたるために父母は多少の迷惑を感ずる事あるべけれど、そは教へ諭して以後を注意せしむれば則ち足る。道徳上何の悪意もなき者を打擲ちょうちゃくするに至りてはその害、悪事を看過するよりもなほ甚だしからんか。これら不理の懲戒を受けたる者、残忍酷薄の人たらずんば必ず 猜疑褊狭さいぎへんきょうの人たるべきなり。

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萩原朔太郎

【詩の原理】

 実にクラシズムの芸術は、美を数学によって創造し、機械とコンパスと定規とから、人間模型を製造しようと意図するところの、真の残忍酷薄なる純美主義の芸術である。そこには少しも温熱感のある主観がなく、純一に客観的なる知性の形式美があるのみである。

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尾崎紅葉

【金色夜叉】

これが為に慰めらるるとにはあらねど、その行へる残忍酷薄の人の道に欠けたるを知らざるにあらぬ貫一は、職業の性質既に不法なればこれを営むの非道なるは必然の ことわりにて、おのれすところはすべての同業者の為すところにて、己一人おのれいちにんの残刻なるにあらず、高利貸なる者は、世間一様に如此かくのごとく残刻ならざるべからずとおもへるなり。ゆゑに彼は決して己の所業のみひとうらみを買ふべきにあらずと信じたり。

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夢野久作

【鼻の表現】

 もしこの鼻の表現を自由自在に使いこなして、如何なる出鱈目でも嘘っ八でも決して他人に看破されない位に充実した鼻の表現でもって、その真実である事を裏書きして行く事が出来るものがいるとしたら、その者は如何に恐るべき成功を世渡りの上に博する事が出来るでありましょうか。
 如何なる残忍酷薄な奴でもその鼻の表現に、自由自在に熱情の光を輝かす事が出来るものとしたならば、その人間の運命は如何に光明に満ち満ちたものとなり、その人間以外の社会生活は如何に暗黒な不安の うちとざされる事でしょうか。

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木下尚江

【火の柱】

「イヤ、世話致すなど申す程のことも出来ませんが、此際先づ男のうちと、女のうちを調和させたいと思ひましたが、丸井さん、実に不思議ですなあ、小米の父親は涙に暮れまして、れと申すも手前共の悪るかつたからで、いさゝか兼吉を怨む筋は無いといて居りまするが、母親の方は非常な剣幕けんまくで、生涯楽隠居の金蔓かねづるを題無しにしたと云ふ立腹です、――女性をんなと云ふものは、果してかくの如く残忍酷薄なものでせうか」

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河口慧海

【チベット旅行記】

この獣は犬のような大きな奴で毛は余り深くない。それが夏の間は赤茶色で実に綺麗です。ちょうど私が見た時分にはその色でありましたが、冬になると白灰色に変ずるそうです。その灰色に変じたのは私は見たことはないですがチベット人の誰でもいう説明によるとその事は確実らしい。ところでその耳は鋭く立って居りましてその顔付の獰猛どうもうにして残忍酷薄なる様子を示して居ることは一見恐るべきもので、現に旅人でも一人位であると不意に噛みつかれ喰い殺されることもあるそうです。そういう奴が五、六 ぴき向うの山の端にやって来たのを兄弟三人がこちらから発砲して殺したその時の顔色を見ると、非常に愉快を感じたらしく見えたです。その非常に愉快に感じて居る残忍の有様を見てこの様子じゃ人を殺して随分愉快を感ずる方であろう、こりゃどうも危ないという感覚が起って来たです。

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国枝史郎

【仇討姉妹笠】

 顔に乱れた髪をかけ、その顔色を蒼白にし、衣紋を崩した主税の体は、その燭台の背後うしろにあった。そうして彼の空洞うつろのような眼は、飛んでいる蛾に向けられていた。
(もともと偶然手に入った独楽だ。頼母にくれてやってもよい。莫大な金高であろうとも、淀屋の財産など欲しいとは思わぬ。……しかしこのように武士たる自分を、恥かしめ、虐み、威嚇した頼母の、配下などには断じてなれない。と云って独楽を渡した上、頼母の配下にならなければ、自分ばかりかお八重の命をさえ、頼母は取ると云っている。残忍酷薄の彼のことだ、取ると云ったら取るだろう。……命を取られてたまるものか?)

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Last updated : 2022/11/23