ご利用について
参考書
四字熟語  を     表示  件
このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
四角四面
しかくしめん
生真面目で、面白おもしろみに欠けること。考え方や態度などが、まじめすぎて、堅苦しいこと。[学研 四字熟語辞典]
作家
作品

夏目漱石

【 硝子戸の中 】

 兄の在学中には、まだ地方から出て来た貢進生こうしんせいなどのいる頃だったので、今の青年には想像のできないような気風が校内のそこここに残っていたらしい。兄は或上級生に艶書ふみをつけられたと云って、私に話した事がある。その上級生というのは、兄などよりもずっと年歯上としうえの男であったらしい。こんな習慣の行なわれない東京で育った彼は、はたしてそのふみをどう始末したものだろう。兄はそれ以後学校の風呂でその男と顔を見合せるたびに、きまりの悪い思をして困ったと云っていた。
 学校を出た頃の彼は、非常に四角四面で、 始終しじゅう堅苦しく構えていたから、父や母も多少彼に気をおく様子が見えた。その上病気のせいでもあろうが、常に陰気臭いんきくさい顔をして、うちにばかり引込ひっこんでいた。

青空文庫で読む

岸田國士

【 なんとかせねばならぬ 】

 僕は現在の周囲から、「憂を倶にする」人々をピック・アップして、一種の「演劇クラブ」を作り、あはよくば一つの「新運動」を起したいと思ふ。
 そして、それは当分、極めて小規模に、且つ極めて気永にやつて行くつもりである。
 そのグルウプは、作家、俳優、演出家、及び、純然たる素人から成るものであつて、何れも「語られる言葉の美」に関心をもち、「物言ふ術」の具体的研究に興味と野心を有する人々に限られる。
 会合は月に一回の予定であるが、会員は総て「言葉の俳優」たる資格試験をパスしなければならず、例会には、交互に、「その研究」を発表する権利と義務を負ふものである。
 事、芝居に関しては、仏頂面と四角四面は禁物である。但し、礼節の範囲に於て批評の自由は保たれ、一座を白けさせない程度に「天狗」たることは妨げない。そこでは、羞恥は美徳にあらず、アヴンチュウルは犯罪と見做されるであらう。

青空文庫で読む

清水紫琴

【 今様夫婦気質 】

いささかもつて偽りを仰せられし訳ではなけれど、光明輝く黄金仏も、一年三百六十五日、打通しての開帳には、有難味も失する道理。そろそろ性悪の尻尾押さへられてはそのつどに、たびたびのいざこざもあつた末、うかうか年を過ごしてはと、奥様は口惜し紛れ、こんな時こそ証文が、ものいふ人を頼んで来うと、愛から慾へ廻り舞台。仕掛も大形な弁護士三昧、示談で行かずば表沙汰。愛はどうでも金だけは、取逃さぬ工夫をと、身分の軽い人だけに、お意気込も御大層なる掛合振りに。旦那様も大吃驚びつくり、忘れたではなき証文の、文言を持出されては大変と、これも然るべき弁護士頼み込みての御応対。犬も喰はぬ喧嘩ながら、書いたものがあるだけに、弁護士の歯牙にはかかりて、やつさもつさの談判も、旦那の方がどうやら負気味。離婚といふに未練はなけれど、金輪内雅の名詮自称、やりくり一つで持つ機関からくりに、幾千円の穴明けてはと。金に七分の未練ありて、弁護士同士が四角四面の交渉中。こちらは丸う出直せし旦那の智恵 ぶくろ、かへつて直接談判で、曖昧の局を結んだ方が、どうやら身腹の痛まぬ訳と、そこは手練の好文句、山鳥の尾のながながしき手紙でのお呼び出しも、懲りずまに二度三度。懲りてはをつても連添ひし人の、かくまで仰せらるるものをと。奥様もお腹立の癒ゆるにつけて未練よりは、自惚の手伝ひて、我知らすお出向きの、談判はどこへやら。

青空文庫で読む

伊藤野枝

【 ウォーレン夫人とその娘 】

 これは彼女が幼い時から母の傍を離れて寄宿生活をして来た結果だ。彼女は幼い時から当然受くべき両親のやさしい愛をうけることが出来なかつた。彼女は第一に親の愛を知る時期がなかつた。第二に彼女は寄宿生活に万事少しのやわらか味もない定規で造り上げられた四角四面な規則で生活した。理屈ばかりの生活をしたことが原因してゐる。つまり彼女は当然受くべき情的教育を受ける機会なしに智的方面にまた意的方面にばかりのびていつたのだ。あやまつた教育が彼女のやうな人間を造り上げたのだ。

青空文庫で読む

内田魯庵

【 美妙斎美妙 】

 美妙斎は少しも温か味がなかった。何度なんたび会っても他人行儀で、心底しんそこから胸襟きょうきんを開いて語るという事がなかった。あながかみしもを付けた四角四面切口上きりこうじょうで応接するというわけではなかったが、態度が何となく余所々々よそよそしくて、自分では打解けてるツモリだったかも知れぬが、ひとには何時いつでも城府じょうふを設けてるように見えた。

青空文庫で読む

 
  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

おすすめサイト・関連サイト…

Last updated : 2023/02/23