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粗製濫造/粗製乱造
そせいらんぞう
作家
作品

小川未明

【書を愛して書を持たず】

 しかし、こうして月々出版された書物はどこへ行くのか。何人も時にこれを疑わぬものはないでありましょう。
 思うに、半分は、屑とされて消滅し、半分は、自然消滅に帰するものと考えられますが、その中、幾何良書として後世にまで残存するであろうか。印刷術と製本術とが、機械でされるようになって以来、生産の簡易化は、全く書物に対する考え方を変えてしまいました。同じく、文化を名目とはするものゝ、珍らしい、特志の出版家でもないかぎり、出版は、資本主義機構上の企業であり、商業であり、商品であり、また今日の如く、大衆を顧客とするには、著者の趣味如何にかゝわらず、粗製濫造も仕方のないことになるのです。

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神西清

【翻訳のむずかしさ】

 翻訳ほんやく文芸が繁昌だそうである。一応は結構なことだ。あの五十年という制限の網の目がだいぶ緩められて、生きのいい魚がこっちの海へも泳いできて、わが文化の食膳にのぼせられる。悪かろうはずはないが、物事には必ず善悪の両面がある。水から揚がるのは、いい魚ばかりとは限らない。お客さんは腹がいているから何でも食う。そこで料理人は転手古舞てんてこまいで、材料の吟味はもとより、ろくろく庖丁ほうちょうも研ぐひまがないという景気になる。つまり濫訳らんやくの弊が生じるわけだ。もっともこれは、何も翻訳文芸に限った話ではない。需要の盛大が粗製濫造の弊を ともなわないで済むのは、よほど文化の根づきの深い国のことだろう。

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中里介山

【山道】

たとえば此処ここに医学博士がある、その医学博士の門に診療を乞うものは博士の有する科学と技術とを信じて求めるのではない、博士という学位に迷信を置いて来るのだ、だから廿分間で素人にも楽々と通読の出来る論文を書いた博士でも博士その名前が迷信の的となり得るに充分である。この迷信が商売の繁昌に有力な処から博士の粗製濫造大売出しが行われる――科学が迷信を助長するのではない人間の本能が迷信なくしては生きられないのではないか

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岸田國士

【都市文化の危機】

 学校都市には学校都市の、軍事都市には軍事都市の、また工場都市には工場都市の風格と色彩があり、それはそれなりに、都市らしく繁華でも、整然としてゐなければならぬ。新開地の興味は、粗製濫造の模擬都市であるところから発するのであつて、その安手なといふ印象は、特に金をかけないからではなく、都市建設の文化的能力を欠いだ手合によつて次ぎ次ぎに偽物が積み重ねられて行くからである。

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宮本百合子

【ソヴェト・ロシアの素顔】

 だから日本のように非常に短い時間に、非常に沢山のフィルムを、営利会社が有っている映画館の需要を充たすために粗製濫造をする、そういう悲劇は製作者にとってないわけである。それで今までプドフキンでも、エイゼンシュテインでも非常に長い時間かかって傑作をこしらえた。

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小出楢重

【楢重雑筆】

だから今でもこの種類のものを探せばいくらでも出て来ます、決して画品のいいものではありません、芸術としては価値はなはだ低いものですが、粗製濫造から来る偶然の省略法や単化と、ガラスの味とが 入交いりまじってまたすてがたい味を作っているものがあるのです。

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坂口安吾

【餅のタタリ】

「これは町の人の食う餅だ。むろん私の餅でもないし、近村の農家の餅でもない。なぜかというと、この餅は餅米のツブだらけで、粗製乱造の賃餅だ。自家用にこんな粗製乱造の餅をつくることはないものだ。私が犯人でないというレッキとした証拠を見せてあげるから、待っていなさい」

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2022/11/23