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率先躬行
そっせんきゅうこう
作家
作品

下村湖人

【 次郎物語 第三部 】

「ふむ――じゃあ、今日はいい機会だから、ひととおり話しておこう。はじめての人はよくきいておくんだ。」
 そう言って、朝倉先生は説明をはじめた。しかし、その説明は、最初のうち、額に書いてある文字には少しもふれなかった。話は、先ず、先生がこのごろよく座談会などに出かけて行く近在の村の事から始まった。
 その村には、三十台ぐらいの若い人たちが、二十数名集まって、一つの団体を作り、いつも村のことを研究し、熱心に村生活の調和と革新とをはかっている。しかし、世間普通のそうした団体のように、正面切って改革を叫んだり、集団行動に出たりするようなことはほとんどない。団員は、月に何回となく集まって、意見を出しあい、議をねり、計画を定め、その実現を誓いあうが、それをその団体の決議だなどといって、大ぴらに発表したりすることは決してない。彼らは、それがめいめいに出来ることだったら、默って率先躬行するし、村全体でやらなければならないことだったら、めいめい自分の近しい人から、茶飲み話の間に角立てないで説き伏せて行く。そんなふうで、いつの間にやら、村の気風を改め、世論を指導して行くので、大ていの人は、そんな団体の存在をはっきり知らないし、知っても気にとめない。いわば村の地下水となって村民の生活の根をうるおしているようなものだ。こういうのが、ほんとうの意味で公共に仕える道ではないか。――
 次郎も、話がそこまで進むと、「白鳥芦花に入る」が、何だかぼんやりわかって来たような気がした。

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Last updated : 2023/10/26