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大喝一番
だいかついちばん
作家
作品

坂口安吾

【閑山】

 弁兆は徳利を落し、さて、臍下丹田に力を籠めて、まづ大喝一番これに応じた。
 と、雲水の僧は、やをらかたへの囲炉裏の上へ半身をかがめた。左手に右の衣袖を収めて、紅蓮ぐれんをふく火中深くその逞しい片腕を差し入れた。さうして、大いなる燠のひとつを鷲掴みにして、再び弁兆の眼前を立ちふさいだ。

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Last updated : 2022/11/23