千態万様
せんたいばんよう
姿や様子、状態などが非常に様々で、数えきれないほど多様であること。
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作家
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作品
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永井荷風
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【
小説作法
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一 およそ小説の作風抒情を主とするもの、叙事に重を置くもの、客観的なるもの、主観的なるもの、空想的なるもの、写実的なるもの、
千態万様、一々説明しがたしといへども、その価値は唯作者の人格にありといはば一言にして尽くべし。
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有島武郎
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【
惜みなく愛は奪う
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私の個性は私に告げてこう云う。
私はお前だ。私はお前の精髄だ。私は肉を離れた一つの概念の幽霊ではない。また霊を離れた一つの肉の盲動でもない。お前の外部と内部との溶け合った一つの全体の中に、お前がお前の存在を有っているように、私もまたその全体の中で厳しく働く力の総和なのだ。お前は地球の地殻のようなものだ。千態万様の相に分れて、地殻は目まぐるしい変化を現じてはいるが、
畢竟そこに見出されるものは、静止であり、結果であり、死に近づきつつあるものであり、奥行のない現象である。私は謂わば地球の外部だ。単純に見るとそこには渾沌と単一とがあるばかりとも思われよう。けれどもその実質をよく考えてみると、それは他の星の世界と同じ実質であり、その中に潜む力は一瞬時にして、地殻を思いのままに破壊することも出来、新たに地表を生み出すことも出来るのだ。
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北村透谷
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【
各人心宮内の秘宮
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深山に蹈入る旅客なかるべからざるが如くに、真理に蹈迷ふ思想家もなかるべからず。人間は暗黒を好む動物にはあらざるなり、常久不滅の霊は其故郷を思慕して、或時に於て之に到着せん事を必するものにてあればこそ、今日に到るまで或は迷信に陥り、或は光明界に出で、宗教の形、哲学の式、千態万様の変遷を経たるなり。人性に具備せる恋愛の如き、同情の如き、慈憐の如き、別して涙の如きもの、深く其至粋を
窮めたるものをして造化の妙微に驚歎せしめざるはなし
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林不忘
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【
丹下左膳 こけ猿の巻
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萩乃がお目あてなのは、さむらいだけじゃアない。町内の伊勢屋のどら息子、貴賤老若、粋不粋、千態万様、さながら浮き世の走馬燈で、芋を洗うような雑沓。
金も拾いたいし、お嬢さんにも近づきたい……欲と色の綯いまぜ手綱だから、この早朝から、いやもう、奔馬のような人気沸騰……。
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北大路魯山人
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【
芸術的な書と非芸術的な書
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芸術というのは心術だといった方が解り易いのではないかと思うのであります。これは心の置きよう、感情熱情で出来たところのもの、それが芸術であると解してはいかがと思うのであります。元来、この「術」のつくのが問題なのでありまして、美術とか技術とかいずれも「術」がつくのでありますが、このいずれの術も精神的、入神的のものに限りまして、常識上通常の算盤に、はじききれない作用が出来るものを「術」といい、「妙」というのだと思います。常識では測れない、二一天作では割りきれない心的作用によって、千態万様に表われ来る所のものが「術」だと思うのであります。
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Last updated : 2025/12/29