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蓬頭垢面
ほうとうこうめん
伸び乱れた頭髪と垢(あか)まみれの顔面。身だしなみがきちんとしていなくて、うすぎたない様子。蓬髪垢面。蓬髪汚面。[精選版 日本国語大辞典]
作家
作品

添田唖蝉坊

【乞わない乞食】

    慈善心を食う

 観音さまの周りの雑沓の中を、文字もんじ通り蓬頭垢面、ボロを引き摺った男が、何か分らぬことを口の中でモヅモヅ呟きながら、ノロノロと歩き廻っている。
  彼はしゃべっている。動いている。と、群集の中から一人が急いで彼の手に白銅を一つ乗せてやる。すると、後から後から、あわて者が蟇口を開いて、小銭を彼に与える。彼の掌の上ではいつの間にか銭がたまっている。

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村越三千男

【 大植物圖鑑 自序 】

併し出版者は一日一刻も出來の期を急いで、殆ど中央の印刷能力を以てしても是れ以上を望めないと云ふ程度まで有らゆる機關を利用し、著者たる余も亦寸刻の休息をも得ないで、出來るだけの活動を繼續したのであつた。その間余は幾度か蓬頭垢面の我が身を顧みて自ら憐れむの情に堪へなかつた。此の如くにして本書は出來上つたのである。其の内容に就いては之を各方面の批評に聞きたいけれども、自ら全力を盡し得たことは聊か快心に思はざるを得ない。

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石川啄木

【 閑天地 】

 ギリシヤの昔、一哲人あり。蓬頭垢面ほうとうくめん襤褸らんるを身に包み[#「襤褸らんるを身に包み」はママ]、妻子なく、家産なく、たゞ一ヶの大桶おほをけをコロガシ歩いて、飄遊へういう風の如く、其処そこの花蔭、此処ここの樹下と、一夜一夜の宿りも定まらず。

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永井荷風

【 偏奇館漫録 】

 蓬頭垢面ほうとうこうめん襤褸らんるをまといこもを被り椀を手にして犬と共に人家の勝手口を徘徊して残飯を乞うもの近来漸くその跡を絶てり。此れに反して鼻下に髭を蓄え洋服の胸に万年筆をさし、折革包を携え仔細らしく案内を乞うて、或は教育或は衛生等名を公共の事業に托して寄附金を募集するもの年と共にその数を増せり。

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泉鏡花

【 式部小路 】

「可愛くッてならないの、だから奥さんになって殺されたんだわ、なぜこんなに暑いの、なぜ熱いの、私のした事が悪いから、あの、それで、ひどいの、どうすりゃいんですねえ。」
 答うもののあらざるを見て、遠山金之助こらえかねたか、してずッと入った。
 蓬頭垢面ほうとうこうめん窮鬼すだまのごとき壮佼わかものあり、
「先生!」
 と叫んで遠山の胸にすがりついた。

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美妙斎美妙

【 内田魯庵 】

 応接室に通されておよそ十五分ばかりも待ってると、やがて軽いくつの音が聞えてスウッとドアひらいて現れたのは白皙はくせき無髯むぜんの美少年であった。「私が山田美妙斎でござります」と叮嚀ていねいに会釈された時は余り若々しいので呆気あっけに取られた。美妙が私と同齢の青年であるとは前から聞いていたが、私の蓬頭垢面ほうとうこうめん反対ひきかえてノッペリした優男やさおとこだったから少くも私よりは二、三歳弱齢とししたのように見えた。

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吉川英治

【 私本太平記 八荒帖 】

「かねて、当家をば」
 忠顕の発音も、しばしは口の唾液だえきを待つようなかわきにカスれがちである。
 彼自体が、ひどい疲労に耐えていたのでもあるが、成否の重大さにも、硬ばらずにいられなかったことだろう。その身なりも名和一族のきらびやかにひきかえて、彼は島以来の荒海藻あらめにひとしい囚衣のままだし、もとよりかむりはいただかず、蓬頭垢面ほうとうくめんそのものだった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2023/02/23