『近世流行商人狂哥絵図』に見る
「江戸時代の行商人と売り声」
= 曲亭馬琴 =

三間張おじいあめさんげんばりおじいあめ
近世流行商人狂哥絵図・三間張おぢいあめ/三間張おじいあめ
  • 絵にマウスを乗せると、部分的に拡大して表示されます。
 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世流行商人狂哥絵図》


三間張おぢいあめ



おぢいがきたぞ
おぢいがきたぞ
さんげんばり
いつほん四もん
すてきにながい
おぢいがきたぞ
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世流行商人狂哥絵図》


三間張おじいあめ

さんげんばりおじいあめ


おじいが来たぞ
おじいが来たぞ
三間張さんげんばり
一本四文しもん
素敵に長い
おじいが来たぞ
  • 「おぢいが飴」(おじいが飴)とも。
    「近世流行商人狂哥絵図」より「三間張おぢいあめ」(国立国会図書館蔵)
  • 三間張さんげんばり」は、家のはり の長さを表し、三間は約 5.5 メートルに当たるので、大きな飴を誇張した形容。飴を延ばすと、三間にも延びるとの自慢も。
  • この「近世流行商人狂哥絵図」に、「飴売りの九尺店より出でながら、三間ばりは掛け値なるべし」とある。つまり、飴売りの家の間口は九尺(一間半で約 2.7 メートル)で、そこから三間(約 5.5 メートル)もの飴を持ってくるというおかしみ。また、「これらの勘定会わねばこそ、おじいとは言うなるべし」ともある。
  • 寛政5年(1793年)に書かれた「惠方みやげ」には次のような小咄が出てくる。(寛政5年は、この「近世流行商人狂哥絵図 」が書かれる 42年前)
  • 「さんげんはり」
  • 親父「是かかあ殿。家を買うかと思うが、どのくらいの大きさがよかんべい」
  • 女房「五間ごげんばりぐらいがよかんべい」
  • 子僧「かかさん、おれにゃあ三間張りを買ってくんなよ」
  • 親父「ばかめ、家をいくつ買う物か」
  • 子僧「とっさん、飴のことだあな」
『三間張おぢいあめ/三間張おじいあめ』(曲亭馬琴・近世流行商人狂哥絵図)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
おぢいがきたぞ
おぢいがきたぞ
さんげんばり
いつほん四もん
すてきにながい
おぢいがきたぞ
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
おじいが来たぞ
おじいが来たぞ
三間張さんげんばり
一本四文しもん
素敵に長い
おじいが来たぞ

近世流行商人 きんせいりゅうこうあきんど 狂哥絵図 きょうかえず は、曲亭馬琴きょくていばきん (明和4年6月9日(1767年7月4日) - 嘉永元年11月6日(1848年12月1日)/江戸時代後期の読本作者。代表作は『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』)の作品です。天保6年・1835年 に刊行されたもので、江戸時代の行商人の姿と売り声を記しています。

 「二十三番狂歌合」「流行商人絵詞二十三番狂歌合」「近世商人狂歌合」などとも呼ばれます。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。


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Last updated : 2022/11/23