『近世流行商人狂哥絵図』に見る
「江戸時代の行商人と売り声」
= 曲亭馬琴 =

どんどん飴どんどんあめ
近世流行商人狂哥絵図・どんどん飴・どんどんあめ
  • 絵にマウスを乗せると、部分的に拡大して表示されます。
 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世流行商人狂哥絵図》


どんどん飴



まだ子ともが
師匠さまから
かへるめへ

今に八ツだから
ここ〔ママ〕へおろして
はじめよう〳〵
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世流行商人狂哥絵図》


どんどん飴

どんどんあめ


まだ子どもが
師匠様から
帰るめぇ

今に八つだから
ここらへ下ろして
始めよう始めよう
  • 『どんどん飴』は太鼓と笛だけで呼び込み、売り声がなかったとされるので、これは二人の飴売り同士の会話か。
  • 子ども達がまだ寺子屋から帰ってこない(商売にならない)が、もうすぐ「八つ」(午後2時ごろ)になるから、この辺りで荷物を下ろして準備をしようと言っている。
  • 寺子屋は、昼八つ(午後2時ごろ)までの 5 時間程度の授業が行われたという。
  • 「こころへおろして」は「ここらへおろして」ではないかと思われるので〔ママ〕とし、読み下しでは「ここらへ下ろして」とした。
  • 『どんどん飴』の狂歌は次の二つが合わせられている。
  • ふしもなく唱歌もあらでふく笛と
       太鼓をあめのおとなひにして
  • ものいはぬふたりあき人つゞみうち
       笛のねだんも安うりの飴
  • 後者が「勝」となっている。
『どんどん飴』(曲亭馬琴・近世流行商人狂哥絵図)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
まだ子ともが
師匠さまから
かへるめへ

今に八ツだから
ここ〔ママ〕へおろして
はじめよう/\
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
まだ子どもが
師匠様から
帰るめぇ

今に八つだから
ここらへ下ろして
始めよう始めよう

近世流行商人 きんせいりゅうこうあきんど 狂哥絵図 きょうかえず は、曲亭馬琴きょくていばきん (明和4年6月9日(1767年7月4日) - 嘉永元年11月6日(1848年12月1日)/江戸時代後期の読本作者。代表作は『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』)の作品です。天保6年・1835年 に刊行されたもので、江戸時代の行商人の姿と売り声を記しています。

 「二十三番狂歌合」「流行商人絵詞二十三番狂歌合」「近世商人狂歌合」などとも呼ばれます。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。


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Last updated : 2022/11/23