作品に出てくるものの数え方(助数詞)
 
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顆
作 家
作 品
梶井基次郎
【檸檬(れもん)】
その日私はいつになくその店で買物をした。というのはその店には珍しい檸檬(れもん)が出ていたのだ。檸檬などごくありふれている。がその店というのも見すぼらしくはないまでもただあたりまえの八百屋に過ぎなかったので、それまであまり見かけたことはなかった。いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈(たけ)の詰まった紡錘形の恰好(かっこう)も。――結局私はそれを一つだけ買うことにした。それからの私はどこへどう歩いたのだろう。私は長い間街を歩いていた。始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛(ゆる)んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった。あんなに執拗(しつこ)かった憂鬱が、そんなものの一顆(いっか)で紛らされる――あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。
森鷗外
【津下四郎左衛門】
印(いん)一顆(くわ)があつて、文に「菅氏」と曰(い)つてあつた。
泉鏡花
【怨霊借用】
その常用だった粗末な手ぶんこの中に、なおざりにちょっと半紙に包んで、(桂坊へ、)といけぞんざいに書いたものを開けると、水晶の浄土珠数(じゅず)一聯(れん)、とって十九のまだ嫁入前の娘に、と傍(はた)で思ったのは大違い、粒の揃った百幾顆(ひゃくいくつ)の、皆真珠であった。
萩原朔太郎
【萩原朔太郎著詩集 月に吠える】
君の霊魂は私の知つてゐる限りまさしく蒼い顔をしてゐた。殆ど病み暮らしてばかりゐるやうに見えた。然しそれは真珠貝の生身(なまみ)が一顆小砂に擦(す)られる痛さである。
森鷗外
【杯】
年は皆十一二位に見える。きょうだいにしては、余り粒が揃っている。皆美しく、稍々(やや)なまめかしい。お友達であろう。
この七顆(か)珊瑚(さんご)の珠(たま)を貫くのは何の緒か。誰(たれ)が連れて温泉宿には来ているのだろう。
宮本百合子
【津軽の虫の巣】
津軽の虫の巣はである。ただ一顆(つぶ)の輝やく珠玉である。蝦夷地交易品の目録の中には青玉と記るされているその別名である。
宮本百合子
【C先生への手紙】
こちらの婦人の華美と、果を知らぬ奢沢は、美そのものに憧れるのではなくて、一顆の尊い宝石に代る金を暗示するから厭でございます。
寺田寅彦
【郷土的味覚】
このローマの宿の一顆(いっか)の郷土的味覚はいまだに忘れ難いものの一つである。
作者不詳
国民文庫
(明治43年)
校訂: 古谷知新
【源平盛衰記】
今の世まで六十人の山篭とて、都鄙の修行者集りて、難行苦行するとかや。彼花山法皇の御行の其間に、様々の験徳を顕させ給ける其中に、竜神あまくだりて如意宝珠一顆水精の念珠一連、九穴の蚫貝一つを奉る。
 
   
 
 
 

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Last updated : 2019/05/16