「近世商賈盡狂歌合」に見る
『江戸時代の行商人と売り声』
= 石塚豊芥子 =

おまんが飴/於万が飴
近世商賈尽狂歌合・おまんが飴
  • 絵にマウスを乗せると、部分的に拡大して表示されます。
 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世商賈盡狂歌合》


おまんが飴



〽︎かわいけりやこそ
神田からかよふ
にくて
かんだからかよわりよか
おまむのあめじやに
一つてふが 四もんじや
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世商賈尽狂歌合》


おまんが飴

おまんがあめ


〽︎かわいけりやこそ
神田から通う
にく
神田から通わりょか
まんの飴じゃに
一丁が 四文しもんじゃ
  • 「おまんが飴」は、文化年間の末期から天保年間にかけて江戸で活動した飴の行商人、また、その呼び込み芸。女装した男性が踊りながら飴を売る姿は江戸で評判を呼び、歌舞伎舞踊の所作事の題材になるなど流行した。
  • 青葱堂冬圃の『真佐喜のかつら』(成立年不明)に、「文化の末より町に飴売あるく男あり。平常黒木綿の衣類へ、大きなる角木爪の五所紋を付け、青紙にて張りたる笊をおうごにてかたげ、声おかしく「おまんが飴じゃに、一丁が四文」と呼び歩き、みな人待居て飴を買う」などとある。

  • 《参考  》野村文紹著『世の中のくさぐさ記』に描かれた「おまんが飴」
『おまんが飴/於万が飴』(石塚豊芥子・近世商賈尽狂歌合)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
〽︎かわいけりやこそ
神田からかよふ
にくて
かんだからかよわりよか
おまむのあめじやに
一つてふが 四もんじや
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
〽︎かわいけりやこそ
神田から通う
にく
神田から通わりょか
まんの飴じゃに
一丁が 四文しもんじゃ

近世商賈尽きんせいあきないづくし狂歌合きょうかあわせは、江戸時代後期の考証家、石塚豊芥子いしづかほうかいしなどによる、嘉永5年(1852年) の作品です。

商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」などとも呼ばれます。

 この本のタイトルは「商売」(旧字体で「商賣」)ではなく、「商賈(しょうこ)」です。商賈は商人のこと(商売の意味にも使われる)で、この本の別名の「商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」でも「商人」が使われています。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。

《参考》
  • 野村文紹による「世の中のくさぐさ記」(明治26年・1893年版)に描かれた『おまんが飴/於万が飴』。
  • 「〽︎おまんがあめ 一丁が四文」の文字が見られる。

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Last updated : 2022/11/23