「近世商賈盡狂歌合」に見る
『江戸時代の行商人と売り声』
= 石塚豊芥子 =

七色蕃椒なないろとうがらし
近世商賈尽狂歌合・七色蕃椒
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 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世商賈盡狂歌合》


七色蕃椒



サア〳〵
チトしやべりましやう
大につかひまするか
四ッ谷内藤さまの名物
八つ房のとうからし
次は黒ごま
黒こまは精しん気こんをまし
お髪の艶をだす
次は陣皮
陣皮は蜜柑の皮の製法
実に毒ありてかわに能あり
引たる風を発散す
次は芥子
けしは温方の補やく
次は麻の実
麻の実は御医者方では麻仁ト云
痳病しやうかちの妙業
次に仕ひますが朝倉の山椒
さんせうはからくして第らんやく
次は焼とうからし
とうからしはからく
かうばしくておいしい
カヨウニ袋いつぱい詰まして
またおつこちのぶん迄
おまけを入ます
モソツト
〳〵〳〵〳〵
右云たて甚た長し
略して記ス
外に紫蘇のり此二味を加ふ
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世商賈尽狂歌合》


七色蕃椒

なないろとうがらし


さあさあ
ちと喋りましょう
大いに使いまするが
四谷内藤様の名物
八つ房のとうがらし
次は黒胡麻
黒胡麻は精心せいしん気根きこんを増し
お髪の艶を出す
次は陣皮ちんぴ
陣皮は蜜柑の皮の製法
実に毒ありて皮に能あり
引たる風を発散す
次は芥子けし
芥子けしは温方の補薬
次は麻の実
麻の実は御医者方では麻仁と云う
痳病しょうがちの妙業
次に仕いますが朝倉の山椒
山椒は辛くして第らんやく
次は焼とうがらし
とうがらしは辛く
香ばしくておいしい
かように袋一杯詰めまして
またおつこちの分迄
お負けを入れます
もそっと もそっと
もそっと もそっと
右云たて甚だ長し
略して記す
ほか紫蘇しそ海苔のり此二味を加う
『七色蕃椒』(石塚豊芥子・近世商賈尽狂歌合)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
サア〳〵
チトしやべりましやう
大につかひまするか
四ッ谷内藤さまの名物
八つ房のとうからし
次は黒ごま
黒こまは精しん気こんをまし
お髪の艶をだす
次は陣皮
陣皮は蜜柑の皮の製法
実に毒ありてかわに能あり
引たる風を発散す
次は芥子
けしは温方の補やく
次は麻の実
麻の実は御医者方では麻仁ト云
痳病しやうかちの妙業
次に仕ひますが朝倉の山椒
さんせうはからくして第らんやく
次は焼とうからし
とうからしはからく
かうばしくておいしい
カヨウニ袋いつぱい詰まして
またおつこちのぶん迄
おまけを入ます
モソツト〳〵〳〵〳〵
右云たて甚た長し
略して記ス
外に紫蘇のり此二味を加ふ
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
さあさあ
ちと喋りましょう
大いに使いまするが
四谷内藤様の名物
八つ房のとうがらし
次は黒胡麻
黒胡麻は精心せいしん気根きこんを増し
お髪の艶を出す
次は陣皮ちんぴ
陣皮は蜜柑の皮の製法
実に毒ありて皮に能あり
引たる風を発散す
次は芥子けし
芥子けしは温方の補薬
次は麻の実
麻の実は御医者方では麻仁と云う
痳病しょうがちの妙業
次に仕いますが朝倉の山椒
山椒は辛くして第らんやく
次は焼とうがらし
とうがらしは辛く
香ばしくておいしい
かように袋一杯詰めまして
またおつこちの分迄
お負けを入れます
もそっと もそっと もそっと もそっと
右云たて甚だ長し
略して記す
外に紫蘇しそ海苔のり此二味を加う

近世商賈尽きんせいあきないづくし狂歌合きょうかあわせは、江戸時代後期の考証家、石塚豊芥子いしづかほうかいしなどによる、嘉永5年(1852年) の作品です。

商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」などとも呼ばれます。

 この本のタイトルは「商売」(旧字体で「商賣」)ではなく、「商賈(しょうこ)」です。商賈は商人のこと(商売の意味にも使われる)で、この本の別名の「商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」でも「商人」が使われています。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。


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Last updated : 2022/11/23