江戸名所図会えどめいしょずえより「神田明神かんだみょうじん 祭礼さいれい

  • 江戸名所図会』から、「神田明神」の祭礼に関する8枚の絵を抜き出しパノラマ画像としました。
    *一丁の半分、つまり1ページ分の絵を1枚と数えています。
    *原画は国立国会図書館蔵。

  • 神田明神は、東京都千代田区外神田二丁目にある神社で正式名称は神田神社。
  • 天平2年〈730年〉に現在の東京都千代田区大手町に創建され、江戸時代に現在地へ遷座したとされる。
  • 隔年で5月中旬に行われる神田祭かんだまつり は、江戸三大祭りの一つとされる。かつては旧暦の9月15日に行われ、絵の中にも「隔年九月十五日に執り行う。氏子の町々より 練物ねりもの車楽だんじり等を出す」と見られる。
  • 『江戸名所図会』には次のように記される。
    神田大明神社かんだだいみようじんのやしろ
    聖堂せいどうきたにあり、唯一ゆいいちにして江戸総鎮守えどそうちんじゅしょうす。祭神さいじん大己貴命おおあなむちのみこと平親王将門霊へいしんのうまさかどのれい二坐にざ社伝しゃでんいわく、人皇にんのう四十五代聖武天皇しょうむてんのう御宇ぎょう天平てんぴょう二年の鎮座ちんざにして、そのはじめ柴崎村しばさきむらに(その旧地神田橋御門きゅうちかんだばしごもんうちにあり)ありしころ中古荒廃ちゅうここうはいすで神燈しんとうえなんとせしを、遊行ゆぎょう上人だい二世真教坊しんきょうぼう東国遊化とうごくゆうげみぎりここにいたり、将門まさかどれいあわせ二座にざとし、やしろかたわら一宇いちう草庵そうあんをむすび、芝崎道場しばさきどうじょうごうす(いま浅草日輪寺あさくさにちりんじこれなり)。其後そののち慶長けいちょう八年当社とうしゃ駿河台するがだいにうつされ(其頃そのころ日輪寺にちりんんじ柳原やなぎはらにてをたもう)、元和げんな二年、又今の湯島ゆしまにうつさせらる。其儘そのまま旧号きゅうごうもちいて神田大明神かんだだいみょうじんしょうす(神主かんぬし代々だいだい柴崎氏しばさきうじなり)。
    *適宜、現代仮名遣いとするなどした。
    *「聖堂」は湯島聖堂のことで、江戸時代の元禄3年〈1690年〉、江戸幕府5代将軍徳川綱吉によって建てられた孔子廟であり、後に幕府直轄の学問所となった。現在は、東京都文京区湯島一丁目に史跡として残る。
    *天平二年は、730年。元和二年は、1616年
《8枚をつないだパノラマ画像》
「神田明神 祭礼」
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江戸名所図会えどめいしょずえ 』とは
  • 江戸名所図会えどめいしょずえ』は、全7巻、20冊からなる絵入りの江戸の地誌。江戸名所の集大成と評される。
  • 斎藤幸雄さいとうゆきお長秋ちょうしゅう)が、寛政年間の江戸府内などの実地調査をして原稿を執筆したが刊行出来ず、その子幸孝ゆきたか莞斎かんさい)、孫の幸成ゆきしげ月岑げっしん)へと引き継がれ三十余年の時を経て三代で完成。第一巻から第三巻までの 10冊は天保5年〈1834年〉に、第四巻から第七巻までの 10冊は天保7年〈1836年〉に刊行された。
  • 寛政から天保に至る、江戸およびその近郊の町・神社・仏閣・名勝地・旧跡・橋・風俗などを多数の絵とともに説明。丁数で 1,160余、ページ数で 2,300余にのぼる大作。
  • 月岑げっしんは『附言』で次のように記す。
    この書は祖父が寛政中の編にして、父県麻呂あがたまろ刪補さんぽ、文化の末に至りてなり、文政の今に至りて上梓の功を終りぬ。凡そ年序を経る事三十有余年、江都蕃昌はんじょうしたがひて、神社寺院、境地沿革するものすこぶる多し。一向の小祠も須臾しゅゆに壮麗たる大社となり、わづかの草庵も巍然ぎぜんたる荘厳となれるもの少なからず。或いは祝融しゅくゆうわざわいかかりて楼門回廊を焼失し、礎石のみ存するの類、興廃枚挙すべからず。しかりといへども時々是を改むる事あたはず。故に今時のていたがへるもの多し。見るものいぶかる事なかれ。
    斎藤月岑識

    [注]
    斎藤長秋さいとうちょうしゅう :1737〈元文2〉年 - 1799〈寛政11〉年(長秋が没した寛政11年は、)。 斎藤莞斎さいとうかんさい :1772〈安永元〉年 - 1818〈文化15〉年。 斎藤月岑さいとうげっしん :1804〈文化元〉年 - 1878〈明治11〉年。寛政:1789年 - 1801年。文化:1804年 - 1818年。文政:1818年 - 1831年。 刪補さんぽ: 取り去ったり付け足したりすること。年序:年数。沿革:漸次にうつり変わる。一向の小祠:まったく小さな祠。須臾しゅゆ:わずかの時間。巍然ぎぜん:際立っているさま。祝融しゅくゆうわざわ:火災。火事の災難のこと。
  • 絵は 長谷川雪旦はせがわせったん(安永7年〈1778年〉- 天保14年1月28日〈1843年2月26日〉)。挿画はその多くが鳥瞰図の技法で描かれる。

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Last updated : 2023/12/09