「近世商賈盡狂歌合」に見る
『江戸時代の行商人と売り声』
= 石塚豊芥子 =

亀甲医者かめのこういしゃ
近世商賈尽狂歌合・榛田稲荷代垢離願人
  • 絵にマウスを乗せると、部分的に拡大して表示されます。
 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世商賈盡狂歌合》


亀甲医者



としよつて
入歯するは
かたい物かめは
万ねんまて
もつとさ

右明和三丙戌年
 新もし絵盡しト云
  黒本ニ載ル□の書入
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世商賈尽狂歌合》


亀甲医者

かめのこういしゃ


年寄って
入歯するは
固い物噛めば
万年まで
持つとさ

右明和三丙戌ひのえいぬ
 新文字絵尽しと云う
  黒本に載る□の書入
  • 「大近世商賈尽狂歌合」より「亀甲医者」(国立国会図書館蔵)
    「亀甲医者」の読み方の根拠
    被っている笠が亀の甲になっていることから、「亀の甲医者」と呼ばれた。「亀の甲歯医者」とも。
  • 「固い物噛めば」の「かたい物かめは」は、「噛めば」と「亀は」を掛けるか。「噛めば万年」「亀は万年」。
  • このページでは、「亀甲医者」の読み方を「きっこういしゃ」とせずに「かめのこういしゃ」とした。
  • その読み方は、『近世商賈尽狂歌合』の後段の「亀甲医者」を説明する件の中で、『元祖 加藤玄悦と云ふ。(中略)二代 同 彦亀(中略)二代の亀の甲医者となる』などと、2箇所に「亀の甲医者」が出て来ることを根拠とした。(画像参照)
『亀甲医者』(石塚豊芥子・近世商賈尽狂歌合)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
としよつて
入歯するは
かたい物かめは
万ねんまて
もつとさ

右明和三丙戌年
 新もし絵盡しト云
  黒本ニ載ル□の書入
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
年寄って
入歯するは
固い物噛めば
万年まで
持つとさ

右明和三丙戌ひのえいぬ
 新文字絵尽しと云う
  黒本に載る□の書入

近世商賈尽きんせいあきないづくし狂歌合きょうかあわせは、江戸時代後期の考証家、石塚豊芥子いしづかほうかいしなどによる、嘉永5年(1852年) の作品です。

商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」などとも呼ばれます。

 この本のタイトルは「商売」(旧字体で「商賣」)ではなく、「商賈(しょうこ)」です。商賈は商人のこと(商売の意味にも使われる)で、この本の別名の「商人尽し狂歌合」「仕出し商人尽し歌合」でも「商人」が使われています。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。


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Last updated : 2022/11/23