ものの数え方・助数詞
《 コラム - ちょっと知識 》
握りずし『一貫いっかん』の不思議
6.  辞典に「すし」の数え方はどのように登場するのか

  • 文中に、「今から○○年前」というような表現が出てきます。これは毎年更新されますが、その出来事がその年の「何月」であったのかの考慮はなされていません。
  • 「すし」は、『鮓』『鮨』『寿司』などの漢字を使うことがありますが、ここでは、引用した文献による表記以外は、基本的に「すし」としています。
  • 引用した文献で、歴史的仮名遣いから現代仮名遣いに変えているものがあります。
  • 文中、敬称を省略しています。
6.   辞典に「すし」の数え方はどのように登場するのか
  •  明治24年・1891年 [ ] に刊行された、日本初の近代的国語辞典とされる「言海」を始め、明治、大正、昭和初期(昭和10年)に刊行された辞典5種類と、昭和57年・1982年 [ ] から平成29年・2017年 [ ] 末までに刊行された41種類の、合計46種類の国語辞典について、「すし」に関する助数詞がどのように扱われているかを調べてみました。
  •  その結果、刊行・改版などのタイミングもあろうかとは思いますが、「カン」を「握りずしを数える助数詞」として掲載する辞典が見られるようになったのは、21世紀になってからであることが分かりました。
  •  調査をした46種類の中で、「すし」に関する助数詞が初めて登場したのは、まさしく21世紀の最初の年、平成13年・2001年 [ ] に刊行された『三省堂国語辞典 第五版』でした。
    • ①『三省堂国語辞典』では、
        第五版(平成13年・2001年 [ ] )で「貫」の項目に登場します。これが調査をした46種類の辞典の中で最初でした。
        第四版(平成4年・1992年 [ ] )までは見られませんでした。
      【貫】 [三省堂国語辞典 初出:第五版 2001年]
       第五版 (平成13年・2001年 [ ])
       『にぎりずし・さしみをかぞえることば。「タイのにぎり二貫」
    • ②『三省堂大辞林』では、
        第三版(平成18年・2006年 [ ] )で「貫」の項目に登場します。
        第二版(平成7年・1995年 [ ] )までは見られませんでした。
      【貫】[三省堂大辞林 初出:第三版 2006年]
       第三版 (平成18年・2006年 [ ])
       『握り鮨を数えるのに用いる
    • ③『三省堂例解新国語辞典』では、
        第七版(平成18年・2006年 [ ] )で「貫」の項目に登場します。
        第六版(平成14年・2002年 [ ] )までは見られませんでした。
      【貫】[三省堂例解新国語辞典 初出:第七版 2006年]
       第七版 (平成18年・2006年 [ ])
       『にぎりずしをかぞえる語。
       第八版 (平成23年・2011年 [ ])
       『にぎりずしをかぞえることば。語源が明らかでないため、「カン」とも書く。
    • ④『広辞苑』では、
        第六版(平成20年・2008年 [ ] )で「かん」の項目に登場します。
        第五版(平成10年・1998年 [ ] )までは見られませんでした。
      【かん】 [広辞苑 初出:第六版 2008年]
       第六版 (平成20年・2008年 [ ])
       『(多くカンを表記。「貫」「巻」とも書く)握り鮨を数える語。一個ずつあるいは二個一組をいう
    • ⑤『岩波国語辞典』では、
        第七版(平成21年・2009年 [ ] )で「かん」の項目に登場します。
        第六版(平成12年・2000年 [ ] )までは見られませんでした。
      【かん】 [岩波国語辞典 初出:第七版 2009年]
       第七版 (平成21年・2009年 [ ])
       『握りずしの個数を言うのに添える語。「こはだ二かん」。「貫」「巻」を当てるが、語源未詳。二十一世紀になって急に広まった言い方。
    • ⑥『明鏡国語辞典』では、
        第二版(平成22年・2010年 [ ] )で「かん」の項目に登場します。
        第一版(平成14年・2002年 [ ] )には見られませんでした。
      【かん】 [明鏡国語辞典 初出:第二版 2010年]
       第二版 (平成22年・2010年 [ ])
       『握り鮨の個数を数える語。「中トロ一かん」。近年始まった言い方で、語源未詳。「貫」「巻」を当てるが「カン」と書くことが多い。
    • ⑦『学研現代新国語辞典』では、
        第六版(平成29年・2017年 [ ] )で「貫」の項目に登場します。
        第五版(平成24年・2012年 [ ] )には見られませんでした。
      【貫】 [学研現代新国語辞典 初出:第六版 2017年]
       第六版 (平成29年・2017年 [ ])
       『握り寿司を数える単位。〔参考〕一個をいう場合と、二個を一組としていう場合とがある。
    • ⑧『三省堂新明解国語辞典』には、
        第五版(平成11年・1999年 [ ] )から「かぞえ方欄」が設けられましたが、その後の第六版にも、第七版(平成23年・2011年 ] )にも、「すし」に関する数え方は見られませんでした。また、「貫」についても助数詞としての用法は見られませんでした。

  • 「ものの数え方」や、様々な「単位」についての資料が載っている辞典として、昭和40年・1965年に第一版が刊行された『単位の辞典』があります。
  •  その『単位の辞典』では、平成14年・2002年 [ ] に刊行された、第五版にあたる『丸善 単位の辞典』で、「すし」の数え方に初めて『貫』が採用されました。
  • 『単位の辞典』の歴史を見てみますと、
    • ① 昭和40年・1965年 [ ] に第一版刊行。「すし」の項目はありませんでした。
    • ② その後、第二版を経て、昭和51年・1976年 [ ] の新編増補(第三版にあたる)でも「すし」の項目はありませんでした。
    • ③ 昭和56年・1981年 [ ] の第四版で、初めて「すし」の項目が設けられ、数え方として『籠・人前』が採用されました。
    • ④ 平成14年・2002年 [ ] に、その第五版にあたる『丸善 単位の辞典』が刊行され、この版で初めて『貫』が採用され、「寿司」の数え方として『桶・折り・貫・人前』と表記されました。
    • 【寿司】
       丸善 単位の辞典(平成14年・2002年 [ ])
       『桶、折り、貫、人前



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  •  次の項では、辞典に登場した時期などを一覧で見てみます。

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Last updated : 2019/05/15