作品に出てくる、国名・地名の漢字表記
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国名・地名の漢字表記50音順一覧へ
 外国名・外国地名の漢字一文字略称 
作家
作品
芥川龍之介

【彼 第二】
彼は若い愛蘭土アイルランド人だった。彼の名前などは言わずともい。僕はただ彼の友だちだった。

夏目漱石

【永日小品】
先生は愛蘭土アイヤランドの人で言葉がすこぶる分らない。少しきこんで来ると、東京者が薩摩さつま人と喧嘩けんかをした時くらいにむずかしくなる。

谷譲次

【踊る地平線 テムズに聴く】
私たちだって、旅行者のもつ俗な善意グッド・ウイルと口笛の気軽さで、野花とみどりの斜面と羊のむれのケント州の心臓を走って、「ある日大きな 倫敦ロンドン愛蘭アイルランド人がやってきた」ように、黒いヴィクトリア停車場へ着いたものだった。

谷譲次

【踊る地平線 海のモザイク】
ポウト・サイドは、都会と呼ぶべくあまりに統一を欠いている。それは、 欧羅巴ヨーロッパでもなし、 亜細亜アジアでもなし、そうかといってあふりかでもない。

内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、英独仏露伊西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。

ハンス・クリスチアン・アンデルセン
森鷗外訳

【即興詩人】
その辭に綴り込めたる 亞細亞アジア風の譬喩の多かりしことよ。汝が如き詩人ならましかば、そを樂みて聞きもせん。

夢野久作

【押絵の奇蹟】
当時希臘国内は雅典アテネ市を除くのほか、数個の専制的君主国が分立しおりしを以て、この事件の起りしもその中の一国なりと推測せらる。

上田敏

【海潮音】
波の底にも照る日影、神寂かみさびにたるあけぼの
照しの光、 亜比西尼亜アビシニア、珊瑚の森にほの紅く、
ぬれにぞぬれし深海ふかうみたにくまの奥に透入すきいれば、
輝きにほふ虫のから、命にみつるたまの華。

南方熊楠

【十二支考 兎に関する民俗と伝説】
一八五三年版パーキンスの『 亜比西尼住記ライフ・イン・アビシニア』にもかの地に兎とも熟兎とも判然せぬ種類が多いと筆し居る。

南方熊楠

【十二支考 虎に関する史話と伝説民俗】
十六世紀にレオ・アフリカヌスが著した『 亜非利加紀行デスクリプチヨネ・デル・アフリカ』に婦女山中で獅に出会うた時

夏目漱石

【虞美人草】
「日本と 露西亜ロシアの戦争じゃない。人種と人種の戦争だよ」
「無論さ」
亜米利加アメリカを見ろ、 印度インドを見ろ、 亜弗利加アフリカを見ろ」


島崎藤村

【新生】
スエズで望んで来た小 亜細亜アジア 亜弗利加アフリカの荒原、ポオト・セエドを離れてから初めて眺めた地中海の波、 伊太利イタリーの南端――こう数えて見ると、遠く旅して来た地方の印象が実に数限りもなく彼の胸に浮んで来た。

ハンス・クリスチアン・アンデルセン
森鷗外訳

【即興詩人】
われは物語に聞ける 亞弗利加アフリカ沙漠の旅人になりたらんやうにおもひき。

芥川龍之介

【MENSURA ZOILI】
「外国から輸入される書物や絵を、一々これにかけて見て、無価値な物は、絶対に輸入を禁止するためです。この頃では、日本、英吉利イギリス 独逸ドイツ 墺太利オオストリイ 仏蘭西フランス 露西亜ロシア 伊太利イタリイ 西班牙スペイン 亜米利加アメリカ 瑞典スウエエデン 諾威ノオルウエエなどから来る作品が、皆、一度はかけられるそうですが、どうも日本の物は、あまり成績がよくないようですよ。

直木三十五

【大衆文芸作法】
外国ではかかる小説が可成りに広く深く民衆の中に根を張っている。露西亜のマキシム・ゴリキイとか、仏蘭西のロマン・ローラン、アンリ・バルビュッス、亜米利加合衆国のアプトン・シンクレア等の作品はそうである。

谷譲次

【踊る地平線 黄と白の群像】
市俄古シカゴトリビュウンの写真班が 亜米利加アメリカ漫遊中のニウジイランド鉱泉王を襲撃に来たように、うっかりしている番頭の顔へ、私は出来るだけ気取った発音を吹っかけてやる。

北村透谷

【人生に相渉るとは何の謂ぞ】
他の一人は又た曰く、甘藷は市場に出ての相塲極めて廉なり、 亜米利加アメリカ種の林檎りんごを植ゆるに如かずと。われは是等の論者が利を算するの速なるを喜び、真理を認むるの確なるを謝するにやぶさかならざらんと欲す、

木下尚江

【火の柱】
突然異様の新議案に羽山は真面目まじめに首を傾けつ「何でも先生、 亜米利加アメリカで苦学して居た時に、雇主やとひぬしの令嬢に失恋したとか云ふことだ、

夢野久作

【暗黒公使(ダーク・ミニスター)】
この絵葉書は、 亜米利加アメリカ 市俄古シカゴで見物に売った残りだ。私はこれを座長のバード・ストーンさんに貰ったのだ。

正岡子規

【ベースボール】
ベースボールはもと亜米利加アメリカ合衆国の国技とも称すべきものにしてその遊技の国民一般に賞翫しょうがんせらるるはあたかも我邦わがくに相撲すもう西班牙スペイン闘牛とうぎゅうなどにも類せりとか聞きぬ。

太宰治

【惜別】
亜米利加アメリカも、かねて東洋に進み出る時機をうかがっていたが、遂にその頃、 布哇ハワイを得て、さらに長駆東洋侵略の歩をすすめて 西班牙イスパニヤと戦い 比律賓フィリッピンを取り、

中里介山

【大菩薩峠 Oceanの巻】
この海を Pacific Ocean と言います、太平洋とか大海原おおうなばらとか訳しますかな、 米利堅メリケンの国まではさえぎるものが一つもありません。
*編注:米利堅はアメリカのこと

蒲原有明

【仙人掌と花火の鑑賞】
の老人が足輕であつた若いをりに、米利堅の黒船といふものが渡來して、世の中が大變にざわめいた。今の老人はその時下田に警護のために行つてゐて、さまざまな不思議を感得した。
*編注:米利堅はアメリカのこと

ハンス・クリスチアン・アンデルセン
森鷗外訳

【即興詩人】
元と 亞拉伯アラビアうまれなるが、をさなき時より法皇の教の庭にうつされて、こゝに生ひ立ち、今はこの學校の趣味の指南役、テヱエル大學院アカデミアの審美上主權者となりぬ。

夏目漱石

【彼岸過迄】
敬太郎けいたろうのこの傾向は、彼がまだ高等学校にいた時分、英語の教師が教科書としてスチーヴンソンの 亜剌比亜物語しんアラビヤものがたりという書物を読ました頃からだんだん頭を持ち上げ出したように思われる。

 
作家
作品
上田敏
訳詩集

【海潮音】
巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、 伊太利亜イタリアに三人、英吉利イギリスに四人、 独逸ドイツに七人、プロヴァンスに一人、しかして 仏蘭西フランスには十四人の多きに達し、さきの高踏派と今の象徴派とに属する者その大部を占む。

夏目漱石

【永日小品】
いったい 英吉利イギリスじんは詩を解する事のできない国民でね。そこへ行くと 愛蘭土アイヤランドじんはえらいものだ。

森鷗外

【うたかたの記】
座敷の真中まなか帳場ちょうばの前あたりまで来し頃、そこに休みゐたる大学々生らしき男の連れたる、 英吉利イギリスだね大狗おおいぬ、いままで腹這はらばひてゐたりしが、身を起して、背をくぼめ、

ガールシン
二葉亭四迷訳

【四日間】
味方は名に負う猪武者いのししむしゃ 英吉利イギリス仕込しこみのパテントづきのピーボヂーにもマルチニーにもびくともせず、前へ前へと進むから、

芥川龍之介

【さまよえる猶太人】
基督キリスト教国にはどこにでも、「さまよえる猶太人ゆだやじん」の伝説が残っている。 伊太利イタリイでも、 仏蘭西フランスでも、 英吉利イギリスでも、 独逸ドイツでも、 墺太利オウスタリでも、 西班牙スペインでも、この口碑が伝わっていない国は、ほとんど一つもない。

内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、独仏露西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。


チェスタートン
直木三十五訳

【作男・ゴーの名誉 THE HONOUR OF ISRAEL GOW】
けわしい屋根や海緑色の石盤瓦茸小塔せきばんかわらぶきことうそびえ具合が仏蘭西フランス蘇格蘭スコットランド折衷式せっちゅうしきシャトーの様式なので、城は師父ブラウンのような英蘭イングランド人にはお伽話とぎばなしに出て来る魔女のかぶる陰険な尖り帽を思い出させるのであった。

国枝史郎

【赤格子九郎右衛門】
這入って見ますると、店の中は、諸国の水夫かこや楫取で、一杯になって居りました。支那の言葉、呂宋の言葉、 西班牙イスパニアの言葉、ポルトガルの言葉――色々様々の国々の言葉で、四辺は騒々しく活気に充ち、何か今にも面白い事件でも、起こって来そうに思われました。
*編注:西班牙(イスパニア)は、スペインのこと


島崎藤村

【新生】
スエズで望んで来た小亜細亜アジア亜弗利加アフリカの荒原、ポオト・セエドを離れてから初めて眺めた地中海の波、伊太利イタリーの南端――こう数えて見ると、遠く旅して来た地方の印象が実に数限りもなく彼の胸に浮んで来た。

芥川龍之介

【MENSURA ZOILI】
「外国から輸入される書物や絵を、一々これにかけて見て、無価値な物は、絶対に輸入を禁止するためです。この頃では、日本、 英吉利イギリス独逸ドイツ墺太利オオストリイ仏蘭西フランス露西亜ロシア伊太利イタリイ西班牙スペイン亜米利加アメリカ瑞典スウエエデン諾威ノオルウエエなどから来る作品が、皆、一度はかけられるそうですが、どうも日本の物は、あまり成績がよくないようですよ。

森鷗外

【うたかたの記】
校長ピロッチイが名は、をちこちに鳴りひびきて、独逸ドイツの国々はいふもさらなり、新希臘ギリシア伊太利イタリア璉馬デンマークなどよりも、ここにきたりつどへる彫工ちょうこう、画工数を知らず。

宮沢賢治

【土神と狐】
「えゝ、よけいもありませんがまあ日本語と英語と独乙ドイツ語のなら大抵ありますね。伊大利イタリーのは新らしいんですがまだ来ないんです。」

夏目漱石

【吾輩は猫である】
むか以太利イタリーの大家アンドレア・デル・サルトが言った事がある。


島崎藤村

【新生】
船は紅海こうかいの入口にあたる仏領ジュプティの港へも寄って石炭を積んで来た。スエズで望んで来た小亜細亜アジア亜弗利加アフリカの荒原、ポオト・セエドを離れてから初めて眺めた地中海の波、伊太利イタリーの南端――こう数えて見ると、遠く旅して来た地方の印象が実に数限りもなく彼の胸に浮んで来た。

岡本かの子

【異国食餌抄】
フランス人はその名の示すようにこの料理を伊太利イタリアミラノのコトレツと考え、ドイツ人は墺太利オーストリア首府しゅふウィーンの料理と考えているらしい。

堀辰雄

【木の十字架】
みんなで教会の前まで行くと、既に弥撒ははじまっていて、そのさくのそとには伊太利イタリイ大使館や諾威ノルウェー公使館の立派な自動車などが横づけになり、又、柵のなかには何台となく自転車が立てかけられていた。

谷譲次

【踊る地平線 海のモザイク】
欧羅巴 ヨーロッパ を歩きつくすためには、私たちの前には、まだ残っている土地がある。で、早々に 伊太利 イタリー を離れた私達は、北上して雪の 瑞西 スイツル に遊び、そこから 墺太利 オウスタリー 維納 ウインナ に出て、あのへんを歩き廻ってチェッコ・スロヴキアへ這入り、プラアグに泊り、それから 独逸 ドイツ を抜けて 巴里 パリー へ帰ったのが三月末だった。

夏目漱石

【虞美人草】
「日本と 露西亜 ロシア の戦争じゃない。人種と人種の戦争だよ」
「無論さ」
亜米利加 アメリカ を見ろ、 印度 インド を見ろ、 亜弗利加 アフリカ を見ろ」

上田敏訳詩集

【海潮音】
読者の眼頭に彷彿ほうふつとして展開するものは、豪壮悲惨なる北欧思想、明暢めいちよう清朗なる希臘ギリシヤ田野の夢、または銀光の朧々ろうろうたること、その聖十字架を思はしむる基督キリスト教法の冥想、特に印度インド大幻夢涅槃ねはんの妙説なりけり。

島崎藤村

【新生】
その時は一人の旅の道連みちづれがあった。コロンボの港(印度インド錫蘭セーロン)からポオト・セエドまで同船した日本の絹商で、一度船の中で手を分った人に岸本はたその港で一緒に成ったのであった。

梶井基次郎

【海 断片】
布哇ハワイが見える。印度インド洋が見える。月光に洗われたべンガル湾が見える。現在眼の前の海なんてものはそれに比べたらラフな素材にしか過ぎない。

岡本かの子

【河明り】
ただし、いま船は暹羅シャムの塩魚を印度らんりょうインドに運ぶために船をチャーターされているから、船も帰せないし、自分も脱けられない。新嘉坡シンガポールなら都合出来る。

内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、英独仏露伊西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。

 
作家
作品
谷譲次

【踊る地平線 海のモザイク】
欧羅巴ヨーロッパを歩きつくすためには、私たちの前には、まだ残っている土地がある。で、早々に 伊太利イタリーを離れた私達は、北上して雪の 瑞西スイツルに遊び、そこから 墺太利オウスタリー 維納ウインナに出て、あのへんを歩き廻ってチェッコ・スロヴキアへ這入り、プラアグに泊り、それから 独逸ドイツを抜けて 巴里パリーへ帰ったのが三月末だった。

与謝野晶子

【晶子詩篇全集】
ミユンヘンの霜、維納ウインの雨、
アムステルダムの入日いりひの色、

斎藤茂吉

【念珠集】
僕は維也納ウインナの教室を引上げ、きふを負うて二たび目差すバヴアリアの首府民顕ミユンヘンに行つた 。
*編注:ウインナは、ウィーンのこと

 
作家
作品
内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、独仏露伊西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。

夏目漱石

【虞美人草】
生ける時は、莫耶ばくやも我らをき難きに、死こそ無惨むざんなれ。 羅馬ロウマの君は 埃及エジプトに葬むられ、埃及なるわれは、君が羅馬うずめられんとす。

夏目漱石

【ケーベル先生】
マッチと 埃及煙草エジプトたばこと灰皿があった。余は埃及煙草を吹かしながら先生と話をした。けれども部屋を出て、下の食堂へ案内されるまで、余はついに先生の書斎にどんな書物がどんなに並んでいたかを知らずに過ぎた。

谷譲次

【踊る地平線 海のモザイク】
埃及エジプト模様の壁掛け行商人と出張煙草屋と、そうしてふたたび、宝石売りと、手相見と、

 
作家
作品
徳冨蘆花

【小説 不如帰】
 当池には四五日碇泊ていはく、食糧など買い入れ、それよりマニラを経て豪州シドニーへ、それよりニューカレドニア、フィジー諸島を経て、サンフランシスコへ、それよりハワイを経て帰国のはずに候。帰国は多分秋に相成り申すべく候。
*編注:豪州はオーストラリア

海野十三

【恐竜島】
小島玉太郎の場合は、夏休みをさいわいに、豪州ごうしゅうを見てこようと思い、かせぎためた貯金を全部ひきだして、この旅行にあてたわけであった。
*編注:豪州はオーストラリア

徳田秋声

【縮図】
東のものが西へ移り、南のものが北で暮らし、この種類の女は遠く新嘉坡シンガポール濠洲ごうしゅうあたりまでも、風に飛ぶ草の実のように、生活を求めて気軽に進出するのだった。
*編注:濠洲はオーストラリア

芥川龍之介

【さまよえる猶太人】
基督キリスト教国にはどこにでも、「さまよえる猶太人ゆだやじん」の伝説が残っている。 伊太利イタリイでも、 仏蘭西フランスでも、 英吉利イギリスでも、 独逸ドイツでも、 墺太利オウスタリでも、 西班牙スペインでも、この口碑が伝わっていない国は、ほとんど一つもない。

芥川龍之介

【MENSURA ZOILI】
「外国から輸入される書物や絵を、一々これにかけて見て、無価値な物は、絶対に輸入を禁止するためです。この頃では、日本、 英吉利 イギリス 独逸 ドイツ 墺太利 オオストリイ 仏蘭西 フランス 露西亜 ロシア 伊太利 イタリイ 西班牙 スペイン 亜米利加 アメリカ 瑞典 スウエエデン 諾威 ノオルウエエ などから来る作品が、皆、一度はかけられるそうですが、どうも日本の物は、あまり成績がよくないようですよ。

岡本かの子

【異国食餌抄】
フランス人はその名の示すようにこの料理を伊太利イタリアミラノのコトレツと考え、ドイツ人は墺太利オーストリア首府しゅふウィーンの料理と考えているらしい。

島崎藤村

【新生】
巴里在留の外国人で立退きたいと思うものは早く去れ、独逸もしくは墺地利オーストリア以外の国籍を有するものは在留を許すとのことであった。

夏目漱石

【点頭録】
東西南北どちらの方角を眺めても、彼の眼に映ずるものは〔ことごと〕独乙〔ドイツ〕の敵であつた。彼は魯西亜〔ロシア〕を軽蔑した。年来独乙の統一に反対する墺地利〔オーストリア〕も、彼の憎悪をまぬかれなかつた。

内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、英独仏露伊西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。

谷譲次

【踊る地平線 海のモザイク】
欧羅巴 ヨーロッパ を歩きつくすためには、私たちの前には、まだ残っている土地がある。で、早々に 伊太利 イタリー を離れた私達は、北上して雪の 瑞西 スイツル に遊び、そこから 墺太利 オウスタリー 維納 ウインナ に出て、あのへんを歩き廻ってチェッコ・スロヴキアへ這入り、プラアグに泊り、それから 独逸 ドイツ を抜けて 巴里 パリー へ帰ったのが三月末だった。

宮本百合子

【伊太利亜の古陶】
彼は、広い交際の網目を彼方此方と注意した。そして、彼が牛津オックスフォード留学時代、その父親と親しくした今度の青年を見出したのであった。

森鷗外

【うたかたの記】
フィレンチェ派学ぶはミケランジェロ、ヰンチイが幽霊、和蘭オランダ派学ぶはルウベンス、ファン・ヂイクが幽霊、我国のアルブレヒト・ドュウレル学びたりとも、アルブレヒト・ドュウレルが幽霊ならぬはまれならむ。

芥川龍之介

【或阿呆の一生】
二十三歳の彼の心の中には耳を切つた和蘭オランダ人が一人、長いパイプをくはへたまま、この憂欝な風景画の上へぢつと鋭い目を注いでゐた。……

与謝野晶子

【私の生ひ立ち】
和蘭陀オランダの風車かざぐるま小屋の沢山並んだ野を描いた褐色の勝つた風景画は誰が悪戯いたづらをしたのか下の四分通りが引きちぎられてました。

淡島寒月

【凧の話】
長崎の凧は昔葡萄牙ポルトガル和蘭オランダの船の旗を模したと見えて、今日でも信号旗のようなものが多い。

内田魯庵

【灰燼十万巻(丸善炎上の記)】
現行書目にしも、英独仏露伊西以外、和蘭瑞西波蘭瑞典那威澳太利匈牙利葡萄牙墨西哥、アルゼンチン、将た印度波斯、中央亜細亜あたりまでの各国書目を一と通り揃えていた。

芥川龍之介

【長崎小品】
 鸚鵡、 御恵 おめぐみ 深い 麻利耶 マリヤ 様! わたしからもひとへに御願ひ致します。
 麻利耶観音、( 阿蘭陀 オランダ の皿に ゑが かれたる女に)あなた!
  阿蘭陀 オランダ の女、何か御用ですか?

芥川龍之介

【渋江抽斎】
幕府はおん医師即ち官医中有志のものは「阿蘭オランダ医術兼学いたし候とも不苦くるしからず候」と令した。

吉田松陰

【徳富蘇峰】
一、殿下の聡明にまします事は、暦数千八百四十二年(天保十三年壬寅じんいんに当る)貴国の八月十三日、長崎奉行の前にて甲必丹カピタンに読聞せし令書にってなり(令書に曰く、異船日本の沖合へ渡り来る時、打払うちはらい方の儀おごそかに取はからうに付き、阿蘭オランダ船も長崎の外へ乗り寄る事有るまじきことにてもこれ無く、

木村芥舟

【瘠我慢の説 福沢先生を憶う】
 日本海軍の起源きげんは、安政初年のころより長崎にて阿蘭オランダじんつたうるところにして、候」と令した。

小栗虫太郎

【紅毛傾城】
それはともすると、打ち合う歯の音に、消されがちだったけれど、紛れもない魯西亜オロシャ言葉だった。
*編注:魯西亜(オロシャ)はロシアのこと

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Last updated : 2024/06/30